2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Pyridylidenes Based on Rearomatization
Project/Area Number |
21K14607
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
森迫 祥吾 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70874840)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低配位化学種 / 芳香族化合物 / 小分子活性化 / 典型元素 / 分子触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
クロスカップリング反応に代表される均一系触媒を用いた分子変換反応は,有機合成化学において革新をもたらし,機能性材料や医薬品化合物などの短工程かつ迅速な構築を可能としてきた。しかし,触媒中心には稀少な遷移金属元素が用いられており,使用量の低減や豊富元素での代替手法の開発が国際的な重要課題とされている。低毒性かつ豊富に存在する典型元素は触媒中心として理想的であるが,遷移金属触媒を代替するような典型元素触媒の合理的な分子設計指針は確立されていない。本研究課題では,遷移金属触媒を代替する,あるいは遷移金属触媒では成し得なかった分子変換反応を達成する典型元素触媒の開発につながる学術基盤の構築を目指し,新奇14族低配位化学種の合成と性質解明を目的として研究を開始した。 当該年度は,地殻中豊富に存在する14族元素であるケイ素に着目し,二価ケイ素化学種(シリレン)を標的分子に定めた。具体的には,高い反応性が期待される窒素および炭素置換環状シリレンの開発に着手した。標的分子は理論化学計算により芳香族性を示し,安定化の一助となることが示唆された。環状シリレン前駆体である環状ジハロシランの合成条件を確立するため,非環状アミノシランのシラFriedel-Crafts型環化反応を開発した。現在,開発した環化反応による環状ジハロシランの合成検討を行なっている。また,環状の二価ゲルマニウム化学種(ゲルミレン)の合成検討を行い,溶液中低温下でゲルミレンが発生していることを確認した。現在,単離に向けゲルマニウム上への配位子導入を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は豊富な14族元素であるケイ素の二価化学種(シリレン)の合成に着手した。標的分子の合成に必要なハロゲン置換シランが従来の方法で合成・単離できなかったため,進展が遅れた。そこで,標的分子の前駆体である環状ジハロシランの合成経路を変更し,そのために必要な非環状アミノシランのシラFriedel-Crafts型環化反応を開発した。今後は開発した反応を用いた環状ジハロシランの合成,および還元による環状シリレンの合成検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の知見により,ケイ素上にアミノ基を有する非環状アミノシランに対してもシラFriedel-Crafts型環化反応が進行することが分かった。そこで,まずは,この反応を利用して標的分子の前駆体である環状ジハロシランの合成検討を行う。また,開発した非環状アミノシランのシラFriedel-Crafts型環化反応の基質適用性についても調査する。
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Research Products
(6 results)