2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14609
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
盛田 大輝 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80881929)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 1,2-アザボリン / BN芳香族化合物 / カルベン / 金属カルベノイド / 直接官能基化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、BN芳香族化合物は発光材料として注目を集め、また医農薬品としての利用にも期待が寄せられている。しかしながら、従来の合成法では多官能性誘導体の供給は困難であり、したがって温和な条件下で進行する新規官能基化法の開発が求められている。そこで本申請研究では、BN芳香族化合物の新規官能基化法としてカルベンや金属カルベノイドを用いた直接官能基化法の開発を目指した。令和3年度は、BNナフタレンを基質として用い、可視光照射下または遷移金属触媒の存在下でジアゾ化合物とのカップリング反応を検討した。その結果、当初の予想に反し、可視光照射下で発生させたカルベンはN-H結合に対して挿入し、対応するN-アルキル化体が高収率で得られることを見出した。なお、分子内に多数存在するC-H結合やB-H結合に対する挿入反応は全く観察されなかった。通常、BN芳香族化合物の窒素原子に対する置換基導入では、強塩基を用いて窒素アニオン種を調製する必要があった。これに対し、本研究で見出した反応は強塩基のような高反応性試薬を必要としない点で有用である。また、様々な遷移金属触媒の存在下でジアゾ化合物のカップリングを検討した結果、銀(I)触媒を用いた際に、低収率ながらもC-H結合への挿入反応が進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度はBNナフタレンを基質とし、光照射により発生させたカルベン、もしくは金属カルベノイドとのカップリング反応を網羅的に検討した。その結果、カルベンがN-H結合に対して選択的に挿入することを見出しただけでなく、遷移金属触媒の作用により、位置選択的なC-H結合への挿入反応も可能になるという重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度の検討により見出した、1,2-アザボリン類のN-H結合に対するカルベン挿入反応について、置換基や主骨格の異なる1,2-アザボリン類や種々のBN芳香族化合物を用いて基質一般性を検証する。また、本反応に使用可能なカルベン前駆体についても詳細に検討し、置換基の種類が反応におよぼす影響を明らかにする。 さらに、当初の計画通り、ヘテロ原子上に置換基をもつ1,2-アザボリン類と種々の金属カルベノイドとの反応を精査し、骨格変換を伴う新規BN複素環骨格の構築を検討する。
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