2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a constructive method of the tricyclic skeleton in pallambins and application into their total synthesis
Project/Area Number |
21K14616
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
池内 和忠 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (70756676)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パランビン / ノルボルナン骨格 / 分子内Diels-Alder反応 / 骨格転位 / 1,4-ビスシリルエノールエーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
パランビンA,Bは2012年に中国産コケ植物から単離されたノルジテルペノイドである。本天然物は二つのノルボルナン構造が内在した三環性骨格を有しているが、このユニークな骨格の効率的合成法は未だ開発されていない。本研究では、この特異的三環性骨格を容易に化学合成できる方法論の開発と全合成によるパランビン類及びその構造類似体の量的供給を目指した。 申請者はこれまで2,2-二置換-1,3-シクロペンタンジオンから誘導可能な1,4-ビスシリルエノールエーテルをジエンとして用いる分子内Diels-Alder反応を報告している。本反応で得られる生成物は2つの橋頭位に酸素官能基を持つノルボルナンを含んでおり、この橋頭位酸素官能基を利用したセミピナコール転位反応を行うことができれば、パランビン類に含まれる特異な三環性骨格が得られると推測した。実際に、2位にメチル基と末端にジブロモオレフィン部位を有するアルキル側鎖を有する1,3-シクロペンタンジオン体にシリル化剤と塩基を処理すると、1,4-ビスシリルエノールエーテルの生成、分子内Diels-Alder反応、セミピナコール転位が一挙に進行し、目的の三環性骨格を得ることに成功した。 パランビン類の全合成に向けて、上記の基質でかつ側鎖のアリル位にさらに酸素官能基を持つ基質で同様の反応を試みた。しかし、望みの反応は進行せず別の反応経路が進むことが明らかになった。ジブロモオレフィン部位の置換基の変更や他の反応条件なども検討したが目的の三環性化合物は得られなかった。しかし、本反応で得られる生成物からでもパランビン類に変換できる可能性がある。また、その化合物を利用してパランビン類とは異なる三環性骨格を持つ他の天然物への誘導が期待できる。
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Research Products
(4 results)