2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of Functionalization Reactions of p-Benzyne toward Application in Organic Synthesis
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21K14617
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
中塚 宗一郎 関西学院大学, 理学部, 講師 (20845383)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ベンザイン / ホウ素化反応 / エンジイン / 正宗・バーグマン環化 / 計算化学 / 有機ホウ素化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
o-ベンザインは,芳香環を迅速に官能基化できる合成戦略上の利点から,複雑な天然物の多段階合成における中間体として,あるいはアセン類や高歪分子の合成手法として確立されている。一方,o-ベンザインの異性体であるp-ベンザインは,エンジイン部位を持つ天然物の生理活性の機構解明や,その発生に用いる正宗-バーグマン環化(MBC)の活性化障壁について理論と実験の両面から盛んに研究されてきたが,p-ベンザインを捕捉する研究は1,4-シクロヘキサジエンからの脱水素や四塩化炭素からの脱塩素による官能基化に限定されている。そこで本研究では,エンジインから正宗-バーグマン環化により生じるp-ベンザインを用い,適切な捕捉試薬を用いてp-ベンザインを官能基化法を確立し,合成戦略の実証を行うことを目的とした。 2021年度は,まず,p-ベンザインの4重ホウ素化反応の基質適用範囲の拡張を検討した。電子供与性あるいは電子求引性置換基を有する基質の検討に加え,ヘテロ環を有する基質を試みた。置換基を有する基質では,予測通りに4重ホウ素化反応が進行し,生成物の単結晶X線結晶構造解析による同定にも成功した。ヘテロ環を有する基質では,基質の不安定でp-ベンザインの発生には至らなかった。一方,誘導体化検討を進めた結果,酸化剤を作用させることで,定量的に脱ホウ素化を伴い芳香族化することをNMR測定により確認した。また,p-ベンザインとジボロンとの反応の速度論実験を行った結果,反応の活性化エネルギーはおよそ116 kJ/molとAFIRによる計算結果である120 kJ/molと良い一致をを示した。これらの成果は,現在,学術論文としてまとめており,報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4重ホウ素化反応の基質適用範囲の拡張に成功した。さらに,4重ホウ素化反応の生成物の誘導体化に成功した。これらの成果は,現在,学術論文としてまとめており,報告する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見の下,4重官能基化反応の開発とその反応生成物の誘導体化を進める。
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Causes of Carryover |
所属研究室の異動に伴い,当初購入予定であった物品などを大幅に変更する必要があったこと,さらに,半導体不足などの影響により年度内に納品が叶わなかった物品があったために,次年度使用額が生じた。次年度使用額は2021年度内に納品が叶わなかった物品を購入するために使用する。
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