2021 Fiscal Year Research-status Report
多成分連結型反応を用いる新規キラルピペリジン構築法の開発とアルカロイドの全合成
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21K14620
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塩見 慎也 千葉大学, 大学院薬学研究院, 特任助教 (20892805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 合成有機化学 / 天然物有機化学 / アルカロイド / 全合成 / 有機触媒 / 短段階合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は3成分連結型不斉有機触媒反応を鍵とするキニーネの短工程での合成研究に取り組んだ。キニーネの合成に先立ってモデル基質を用いて鍵反応の検討を行った。すなわち、二級アミン型不斉有機触媒を用いたエナンチオ選択的マイケル付加反応に続く、メチルキノリンとのマンニッヒ反応である。α,β-不飽和アルデヒドとチオアミドの鍵不斉触媒反応は収率90%、94% eeで進行した。反応はグラムスケールでも再現よく進行した。次に得られたピペリジンユニットに対してシアノメチルキノリンとのマンニッヒ反応の検討を行った。種々のルイス酸を検討した結果、クロロホルム中、50℃で0.5当量の臭化インジウムを用いる条件が最も再現よく所望のカップリング体を与えた(収率34%)。マンニッヒ反応の更なる収率の改善が必要であるが、キノリンユニットの導入が完了したためモデル基質でキニーネの合成ルートの検討を更に進めた。酸化的脱シアノ化を検討したところ、シアノメチルキノリンに対してTHF中、酸素雰囲気化で過剰量の水素化ナトリウムを作用させる条件で目的とするケトン体が収率25%で得られた。その他に強塩基条件下レトロマイケル反応によりチオアミドが脱離した副生成物を確認している。現在、マンニッヒ反応の収率を改善するべく、シアノメチルキノリンより高い求核性を持つと考えられるシアノメチルキノリノンの合成を開始した。また、キニーネ合成の本基質となるクロロ基を有するα,β-不飽和アルデヒドの合成も並行して行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度途中での所属変更に伴い研究環境のセットアップが必要であったためスタートが遅れた。 鍵となる不斉触媒反応によるピペリジン合成は高収率、高立体選択性で進行し、スケールアップも容易である。 三成分連結反応による短段階でのキニーネ合成はモデル化合物においてオレフィン部位を除くすべての炭素、窒素、酸素原子の導入が完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
三成分連結反応を鍵とする短段階でのキニーネの全合成を目指す。鍵となるマンニッヒ反応と酸化的脱シアノ化反応の収率改善が必要である。マンニッヒ反応はより反応性の高いシアノメチルキノリノンを合成し、求核剤として用いることで収率改善を行う。また、酸化的脱シアノ化反応の検討は低収率の原因がレトロマイケル反応を介したチオアミドの脱離であることを突き止めており、先にチオアミド基をニッケル還元により除去することで改善できると考えている。上記戦略で収率改善が見込めない場合は、シアノ基に拘らずニトロ基、メチルエステルなどの電子吸引基を備えた各種メチルキノリノンを合成し、カップリングの検討を行う。加えてクロロ基を有するα,β-不飽和アルデヒドを合成し鍵触媒反応に付すことで、本基質でのキニーネ合成を開始する。また、本触媒反応はさまざまなピペリジンアルカロイドの全合成へと展開できることが期待されるため、キニーネ以外の合成ターゲットへと応用を試みる。
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Research Products
(6 results)