2022 Fiscal Year Annual Research Report
多成分連結型反応を用いる新規キラルピペリジン構築法の開発とアルカロイドの全合成
Project/Area Number |
21K14620
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塩見 慎也 千葉大学, 大学院薬学研究院, 特任助教 (20892805)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 合成有機化学 / 天然物有機化学 / アルカロイド / 全合成 / 有機触媒 / 短段階合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は最終年度においてプロリン型2級アミン触媒を用いた不斉マイケル付加反応の開発に成功し、光学活性なピペリジンを1段階、高収率かつ高立体選択的に合成することに成功しました。このピペリジンに対してキノリンユニットとのカップリングの検討を行った。種々のキノリン系求核剤を試したところ、シアのメチルキノリンを用いた際にピペリジンとのカップリング体を39%の収率で得ることに成功した。次にキノリンに求核性を持たせるために導入したシアノ基の酸化的開裂は、酸素雰囲気化炭酸セシウムを作用させることで16%の収率で達成した。これによりわずか3段階で末端のビニル基を除いてキニーネに必要な炭素、窒素、酸素原子を導入することに成功している。 一方で、マクミラン型不斉触媒を利用するマイケル付加反応からは光学活性な2環性ピペリジンを構築することに成功した。本反応では触媒量がわずか3 mol%でよく、定量的にかつ86% eeと高い立体選択性で目的物を得ることができた。本反応により得られた2環性ピペリジン構造からは、ビンカミン、クエブラカミン等のモノテルペンインドールアルカロイドの形式全合成に成功している。クエブラカミンの合成法の改良とエブルナミンの全合成を達成し、二つのフラグメントを結合させることで創薬研究を目指した分子量590を超える天然物の全合成について検討を行った。本反応の最適化についてはその成果を第142回薬学会年会にて口頭発表にて発表した。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果については、合成の難しい9員環構造を有する天然物合成に有用な中員環構築反応として、トルエン中、KHMDSとクラウンエーテルを1当量用いて加熱する条件を発見し、フペルジンHの初の不斉全合成を達成しその構造が天然物と同じであることを示した。またいくつかの新規反応を開発し、天然物合成の途中段階まで進めることができた。
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Research Products
(5 results)