2021 Fiscal Year Research-status Report
Continuous-flow solution-phase synthesis of oligonucleotides
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21K14621
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 由樹 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任助教 (70835298)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 亜リン酸エステル / ヌクレオチド / 亜鉛触媒 / 核酸医薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸医薬は次世代の医薬品として注目を集めている重要な化合物である。本化合物は種々のアルコールの亜リン酸化反応を鍵反応として合成されるが、従来法では大量の高価な亜リン酸化剤や活性化剤が必要とされ、効率が悪く、大量の廃棄物を生じるなどの問題があった。 本研究では、ヌクレオシドのアルコール部位を触媒的に亜リン酸化することにより、亜リン酸ジエルテルの合成を行い、本手法を繰り返すことで核酸医薬の合成を志向するものである。まず初めに、比較的単純な構造を有するアルコールをモデル基質として用い、亜リン酸ジメチルを出発原料とする亜リン酸ジエステル合成を行なったところ、2つ目のアルコールの亜リン酸化反応において、亜鉛触媒10 mol%存在下、アルコールの添加率は80%以上を達成したものの、選択性が問題となることが判明した。本反応で得られる副生成物として、1つ目のアルコールあるいは2つ目のアルコールが2つ置換した亜リン酸ジエステルが得られることが判明し、生成物の過反応が問題であることが示唆された。本問題を解決するため、種々反応条件の検討を行なったが、選択性の向上には繋がらなかった一方、出発原料の亜リン酸化剤を亜リン酸ジメチルから亜リン酸ビストリフルオロメチルへと変更することで劇的な反応性・選択性の向上が実現した。 新たな亜リン酸化剤を用いて反応条件を再最適化を行なったところ、モデル基質では2段階反応、90%以上の収率で非対称なる亜リン酸ジエステルが触媒的かつ添加剤を用いることなく合成されることを見出した。さらに本手法はより複雑な構造を有する炭水化物やヌクレオシドをアルコール基質として用いることも可能であり、触媒的核酸医薬の合成に向け大きく前進する結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初用いていた亜リン酸化剤では想定外の副反応が問題となり、選択性向上の必要のため、網羅的な条件検討を行い時間を要する結果となった。一方で、新たな亜リン酸化剤の発見により、当初、目的としていた収率・選択性を大きく上回る反応の確立に至ったことは評価すべき点である。また、収率・選択性には改善の余地が残るものの、ヌクレオシドを基質とする初の触媒的亜リン酸ジエステル合成が実現されたことは特筆すべき点である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、モデル基質での最適化は完了しているため、今後は核酸医薬の合成に焦点をあて検討を行う。特に、触媒構造の検討に焦点を当て更なる活性・選択性の向上を目標とする。また、触媒の固定化を行うことで、不均一系触媒として回収・再使用可能な触媒の開発を目標とする。
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