2021 Fiscal Year Research-status Report
ステロイド型4環性骨格を有する高酸化度天然物の網羅的合成手法の開発
Project/Area Number |
21K14622
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
萩原 浩一 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 特任助教 (20804371)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 有機化学 / 天然物合成化学 / ステロイド / カップリング反応 / ラジカル反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、強力かつ多様な生物活性を示す、ステロイド型骨格を有する高酸化度天然物の、同一戦略に基づく網羅的合成手法の確立を目的とする。種々のAB環ユニットとD環ユニットの遷移金属を用いた分子間カップリング反応とラジカル反応を用いたC構築により、カルデノリドやブファジエノリドを含む様々な縮環様式のステロイド化合物の合成を行う。 本年度は、AB環フラグメントとD環フラグメントを連結し、続くラジカル反応により6員環を形成することで、ステロイド様4環性骨格の構築を実現した。まず、AB環の構造とD環の構造を最適化およびカップリング反応条件を最適化した。その結果、初期検討段階より2倍以上の収率で連結体を得ることができた。その後、ラジカル供与体となる官能基を導入した後、ラジカル反応条件に付すことで、6員環化反応を進行させ、ステロイド様4環性骨格を構築した。本合成中間体は、今後のカルデノリド、ブファジエノリド合成に向けた最重要中間体である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、AB環フラグメントとD環フラグメントを連結し、続くラジカル反応により6員環を形成することで、ステロイド様4環性骨格の構築を実現した。まず、AB環とD環のカップリング反応を最適化した。従来の基質および反応条件ではカップリング反応収率は低収率にとどまった。検討の結果、AB環およびD環の官能基を変更し、さらにカップリング反応条件を変更することで、2倍以上の収率で連結体を得ることができた。その後、ラジカラジカル反応によりステロイド様4環性骨格を構築した。本合成中間体は、今後のカルデノリド、ブファジエノリド合成に向けた最重要中間体である。全合成に向けた重要中間体の合成を実現できたことから、当初の予定通りおおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、合成した中間体を用いて、ブテノリド、ブファジエノリド類の全合成法を確立する。得られた中間体に対し、立体選択的にブテノリドまたは2-ピロンを導入することで、カルデノリドまたはブファジエノリドの全合成法をそれぞれ確立する。また、異なる酸化度を有するC環の構築のために、ラジカル供与体となる官能基を変更することで種々のC環構造を構築する。これらを組み合わせることで、多様なブテノリド、ブファジエノリドを全合成する。 さらに得られた知見を応用して、トウセンダニンの全合成を行う。
|
Causes of Carryover |
当初の計画を変更し、全合成ルートの構築を主眼に置き、大量合成ではなく、すでに合成していたフラグメントを用いて、少量スケールでの骨格構築反応の検討を中心に実験を行った。そのため、当初の計画より、有機合成試薬・有機溶媒や精製用シリカゲルへの経費を大幅に抑制できたため、次年度使用額が生じた。 次年度は、様々なステロイド類の合成に向けた基質の大量合成を行うため、もともとの請求した使用額に加え、次年度使用額分の金額も必要になる。
|