2022 Fiscal Year Annual Research Report
アニオン性錯体の光励起状態を利用するラジカル型有機反応の開発
Project/Area Number |
21K14623
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永島 佑貴 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (90880055)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 光反応 / 励起状態 / シリルホウ素アート錯体 / ケイ素化反応 / ホウ素化反応 / 計算化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、シリルボラン (Si-B) にアニオン性分子を配位させることで生じるアニオン性錯体「シリルホウ素アート錯体」に着目した。本錯体は、ケイ素アニオンの等価体としてアニオン反応に利用できることが知られているが、ラジカル反応への適用例は存在しなかった。そこで、以下の2つの戦略によって本錯体を活性化することで、ケイ素ラジカルの発生と続くラジカル反応への応用を検討した。 (1) 一電子酸化による手法:光増感剤によるレドックス作用と組合せることで、可視光照射下、効率的にケイ素ラジカルが発生することを見出した。特に「不安定な第 2 級ケイ素ラジカル」を発生する手法を開発し、極めて高い基質一般性を有する「アルケンのヒドロシリル化反応」を開発した。 (2) 光吸収可能な基質との錯軽視による手法:代表的なヘテロ芳香族2次元化合物であるキノリンに対して、アルキルリチウムによって脱芳香族化させた中間体とシリルボランの複合体を設計した。本錯体に可視光を照射することで、触媒を添加することなくケイ素ラジカルを発生できることを見出し、「キノリンへの脱芳香族的な炭素・ホウ素・ケイ素化反応」を開発した。さらに、合成した2-アルキル-3-シリル-4-ボリル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリンのホウ素官能基やケイ素官能基を変換することで、本分子が医薬品探索における合成プラットフォームとして利用できることを見出した。 これらの研究成果は、以下の学術雑誌に掲載された。(1) J. Org. Chem. 2022, doi: 10.1021/acs.joc.2c01885. (2) Nat. Commun. 2023, 14, 652.
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Research Products
(15 results)