2023 Fiscal Year Annual Research Report
カチオンを運ぶ分子水車:触媒機能開拓と高難度分子変換への応用
Project/Area Number |
21K14627
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西井 祐二 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70773787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カチオン / トリプチセン / ハロゲン / 求電子置換反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、申請者が独自に発見した水車型のトリプチセン骨格を持つカチオン種について、その特異な電荷分離構造に基づく反応性に着目した。その理論的な理解を深めるとともに、新たな有機分子触媒に展開することを目指した。 2023年度では主に、ホウ素クラスターを触媒プラットフォームとした新たな触媒の構造最適化を検討した。特に、m-カルボランの炭素頂点にメチルチオ基を導入したものが、芳香族基質のハロゲン化反応において、従来のトリプチセン基盤の触媒を凌駕する結果が得られた。またホウ素クラスターの更なる化学修飾によって、触媒の電子状態を精密にチューニングできることを明らかとし、アルキル基を導入することで触媒活性と安定性の向上を達成した。新たに設計&合成した触媒について、量子化学計算を用いた構造解析を行ったところ、反応活性種のハロスルホニウム錯体におけるσホール順位が適切に調整されることが、優れた触媒活性に重要となることを明らかとした。この成果は学術論文としての投稿し、また特許出願に至っている。 このように、当初の研究対象としていた水車型の分子のみならず、より発展的なクラスター分子の性質を活かしたイオン性化学種について拡張し、より優れた機能性分子の開発を達成した。これらの発見は、有機分子触媒の設計について新たな指針を提唱するものであり、その構造と電子状態に対する理論的な理解を深められたことは学術的にも意義深いといえる。
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Research Products
(14 results)