2023 Fiscal Year Research-status Report
X線用気体フィルターを用いた蛍光X線同時計測分析法の開発
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21K14655
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
松山 嗣史 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 特任助教 (90847930)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 蛍光X線分析 / SN比 / 高感度 / 希ガス / アルゴン |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光X線分析は、様々な試料中の微量元素分析に有用であるが、高感度に分析するためには、蛍光X線スペクトル内のバックグランド強度を減少させる必要がある。つまりバックグランド信号強度と標的元素の正味の強度(Net強度)を向上することは重要である。そのために、一般に金属箔を試料とX線菅の間に導入することで、不要なX線を減少させる。本研究ではより広範囲のX線に対応させるために、希ガス元素を一次X線フィルターとして活用する技術開発を目指している。これをガスフィルターと呼んでいるが、本研究ではガスフィルター内にアルゴンを導入し、チタンの蛍光X線分析に対して適用した。基板上にチタン箔を乗せ、そのうえにグリスを塗ることで散乱線が多い試料を作製した。取得したスペクトル内のピークに対してガウス関数をフィッティングすることで、ピークのNet成分及びバックグランド成分をそれぞれ導出した。これの比を取ることで、SB比を算出した。試料を4つ作成し、平均値と標準偏差をそれぞれ算出した。アルゴンの圧力に対するSB比を取得した。また、アルゴンの圧力は、-40, -20, 0, 20, 40 kPaと変動させた。また、この圧力はゲージ圧である。その結果、アルゴンフィルターを用いない場合のSB比はおおよそ0.95 kPaであるのに対して、アルゴンガスを40 kPa導入した場合のSB比はおおよそ1.6であった。それゆえ、アルゴンガスを導入することで、SB比が向上したことがわかる。また、X線同時計測可能なハードウェアを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでおり、アルゴンやクリプトンをガスフィルターとして導入することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ガスフィルターのさらなる最適化や同時計測装置の最適化などを進めるとともに、取得データの論文化や学会発表なども進めていきたい。
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Causes of Carryover |
同時計測装置のアップデートやソフトウェアーの最適化を行う予定であったが至らなかったため
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Research Products
(7 results)