2023 Fiscal Year Annual Research Report
セルロースナノファイバーとキトサンを骨格とした高強度金属除去回収ゲル材料の創製
Project/Area Number |
21K14664
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 彩華 苫小牧工業高等専門学校, 創造工学科, 准教授 (90782011)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キトサン / セルロースナノファイバー / 金属吸着材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
重金属廃水処理やレアメタル回収における安全面の確保や資源循環問題は、持続可能な社会貢献のためにも解決しなければならない。本研究では、キトサンとセルロースナノファイバーを基材とした金属除去回収材料の創製を目指した。 金属吸着材の一つであるハイドロゲルは三次元網目内に溶媒(水)を取り込むため溶媒と高分子鎖との接触面積が大きく、固体吸着材に比べて金属吸着効率が高い。キトサンにキレート剤であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を導入し、ジエポキシ架橋剤を用いてEDTAキトサンゲルを合成した。キトサンを含め多糖由来のハイドロゲルは、熱可塑性や有機溶媒への溶解性が低いため成形加工性に乏しく、一度バルク合成したものを粉末化した不規則形状のものが多い。不規則形状の粉末では金属吸着後の材料回収が困難であるため、球状粒子の合成を試みた。流動パラフィン中に反応溶液(水相)を注入し、撹拌による剪断力と水/油界面の表面張力により形成された液滴内で架橋反応を行い、EDTAキトサンゲルの球状成形合成に成功した。球状EDTAキトサンゲルは重金属イオンを水中から除去でき、金属吸着後も容易に水中から材料を回収することができた。 また、金属回収材料としては反復使用による材料崩壊が生じないことが必須である。高い結晶性から強靭性を有するセルロースナノファイバーを用いることで、反復使用に耐えられる材料が得られると考えた。そこで、セルロースナノファイバー表層にEDTAをグラフト化修飾し、金属吸着ナノ繊維を合成した。このナノ繊維は極めて短時間で金属イオンを吸着し、銅や鉛に非常に高い吸着能を有し、水中の重金属イオンを選択的に除去できることが明らかになった。金属吸着後は希酸で処理することで脱着が可能であり、吸着-脱着サイクルを繰り返しても吸着性能の低下は見られず反復使用が可能あった。
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Research Products
(4 results)