2021 Fiscal Year Research-status Report
光脱保護反応を基盤とした高分子修飾法開発と接脱着への応用
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21K14672
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
赤江 要祐 信州大学, 繊維学部, 日本学術振興会特別研究員 (40837415)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高分子反応 / 活性エステル / アシルアジド / イソシアナート / 接着材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が目指す、必要に応じて剥離が可能な接着実現のためには、刺激に応じた接着材料の大幅な物性変化が要求される。そのためには、高分子構造中における高効率な反応の進行が必要である。高効率な高分子反応にはいくつか選択肢があるが、本研究では簡便な合成プロセスによってアクセス可能な、活性エステルとアミノ基の反応に注目した。すなわち、接着材料中にこれらの官能基を導入し、刺激に応じて反応を誘起することにより材料が剥離する、というシステムの構築を検討する。 本年度は接着性ポリマー構造中に上記官能基を有するポリマーを合成した。各繰り返し単位の割合に応じて、接着性を含む生成ポリマーの物性は大きく変化するため、種々の割合で合成を実施した。その結果、接着性ユニットを多量に含むポリマーは、一度固体として析出すると再度溶液にすることが困難となり、溶液状態での分析には適さないことが分かった。ポリマーの構造と高分子反応性、接着性の関係を今後精査することで、目的用途に適するポリマーの合成を検討する。 また、活性エステル置換基の代替として、イソシアナートを用いた高分子反応についても検討した。イソシアナート基は熱刺激によるアシルアジド基のCurtius転位反応によりポリマー構造中に導入可能である。本検討では、Curtius転位反応が高分子構造中において定量的に進行し、また高分子構造中のイソシアナート基が高効率でアミンと反応することを実験的に明らかにした。また、アシルアジド基はカルボキシル基から容易に変換可能であるため、本合成プロセスは市販のカルボン酸化合物から簡便な合成ステップを経て実施出来ることも分かった。さらに、アルコールとイソシアナートの付加反応を用いることで、重付加によるポリウレタンの合成や、ブロックポリマーの合成にも当該プロセスが有用であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とするポリマーの合成が進展し、また、イソシアナートを用いた高効率な高分子反応の進行が確認されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
ポリマーの合成と高分子反応性、および接着性を検討することで、目的用途に適した物性を有する材料の合成法を確立する。
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Causes of Carryover |
2022年3月時点での研究費残額では、ソフトウェアの購入に不足が生じたため、当該残額を次年度使用額として留保した。翌年度分の研究費交付の後、当該ソフトウェアの購入に使用する。
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