2021 Fiscal Year Research-status Report
高分子ガラスにおける吸水性を利用した強靭化への改質法の確立
Project/Area Number |
21K14680
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
伊藤 麻絵 金沢大学, フロンティア工学系, 助教 (20845177)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリメタクリル酸メチル / リチウム塩 / 粘弾性 / 力学物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、環境・エネルギー問題対策として、システムの軽量化を目的にさまざまな分野で無機材料のポリマー系材料への置き換えが進んでいる。ガラス状ポリマーは透明性が高く、無機ガラスの代替が期待されるが、硬さと粘り強さの両立が難しかった。さらに、最近では資源の有効利用を目指し、サステイナブルな材料創成が求められている。そこで申請者は、代表的なガラス状ポリマーで最も高い透明性を持つポリメタクリル酸メチル(PMMA)を用いて、持続可能な方法で硬さを保ったまま粘り強さを付与できる材料設計指針を確立し、資源循環型社会に寄与する「力学特性制御により硬さと粘り強さの両立を実現した革新的ガラス状ポリマー」を創出できると考えた。さらに申請者の最近の研究から、分子間相互作用を利用することで、共有結合と同等の強い結合と、高い分解性により元の汎用性ポリマーに簡単に戻すことができる可能性が見出された。本申請課題ではこの技術を利用し、「確実な結合とやさしい分解」を有し、「硬さと粘り強さ」を両立する材料設計指針を構築することを目的とするものである。
初年度の実績: PMMA/リチウム塩添加系において、吸収した水分量に対する応力―ひずみ曲線を水分量1%刻みで得た。塩についてはアニオンの異なる二種類の塩を用いて、さまざまな塩濃度において実験を行った。次年度ではここで得られた応力―ひずみ曲線について構成方程式を得ることを目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)/リチウム塩添加コンポジットに吸水させた際の一軸延伸試験を実施した。応力―ひずみ曲線を各吸水量ごとに得て、吸水量1%ごとに異なる応力―ひずみい曲線が得られることを見出した。関連する論文を4報投稿、うち3本は受理されており、1本は審査中である。現在は、上記の応力―ひずみ曲線に対して構成方程式を作成しているところで、理論化までもう一歩のところまできている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はポリメタクリル酸メチル(PMMA)/リチウム塩添加コンポジット吸水系の一軸延伸の応力―ひずみ曲線に対して構成方程式を作り、理論として確立する。
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Causes of Carryover |
研究を継続中のため。
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