2021 Fiscal Year Research-status Report
Synthesis of functional bio-based polymers by precise introduction of cinnamic acids
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21K14681
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高田 健司 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (10772171)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 桂皮酸 / 有機分子触媒 / リビング重合 / 光応答材料 / バイオベースポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、リビング重合法やモノマー設計を通して様々な官能基を有したクマル酸系高分子の合成法を確立する。さらに、得られる高分子の特性評価を行い、側鎖・末端の官能基変換による特殊構造化を通して、バイオベース材料での機能性高分子創製を目指す。 ①クマル酸類の重合性評価:これまでの研究において、p-クマル酸の保護体をアクリル酸エステルの重合に組み込めば、アクリル酸エステルの重合がほぼ完全に進行した後にp-クマル酸ユニットが1つ導入されることを見出している。本年度は、適用可能なアクリレート系モノマーの拡大、および末端官能基化可能な桂皮酸誘導体の調査を行った。アクリル酸エステル以外にもメタクリル酸エステルやN,N-ジアルキルアクリルアミド類で同様の重合挙動を示すことを確認した。さらに、末端をキャッピングする挙動も、p-クマル酸以外の桂皮酸でも同様に起こることが確認された。今後は、これら末端官能基化ポリアクリル酸エステル類の構造解析と並行して、モノマー設計による主鎖型のポリクマル酸の合成を進める。また、クマル酸誘導体として、それらの二量体をベースとした材料展開を行っており、高強度ナノメンブレンや溶解性のある高性能樹脂などへの展開も行っている。 ②クマル酸類によるポリアクリル酸エステルのα、ω末端の官能基化:上記の通り桂皮酸によるワンポットのエンドキャッピング(ω末端官能基化)は、いずれのアクリル酸エステル、桂皮酸誘導体においても確認されたが、開始剤によるα末端官能基化は達成できていない。これは、クマル酸の官能基を保護することで得られた化合物が、非常にかさ高い構造となるために、十分な開始剤合成反応が進まなかったためと考えられる。今後は、保護基に適当なものを選択することでα末端官能基化の検討を進めるとともに、ω末端官能基化されたポリマーを用いたグラフトポリマー化等の検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クマル酸誘導体の重合性評価により、末端官能基化において最適な重合条件の決定ができた。桂皮酸によるポリマーのω末端官能基化に関しては質量分析による厳密な評価こそ未達成ではあるが、NMRやGPC測定からクマル酸誘導体がほぼ定量的にω末端に導入できていることは判明している。特に、これら反応系がワンポットで進行することは、重要な成果であると考える。また、試験的ではあるものの桂皮酸が主鎖に組み込まれたタイプの新しいポリマー設計にも着手しており、それらに光応答性があることも確認されている。以上より、本年度は当初の計画通りに進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、クマル酸誘導体によって末端官能基化されたポリマーをベースとして、従来から光変形材料として知られる主鎖型のポリクマル酸との共重合によるグラフトポリマー化に展開する。このほか、クマル酸が主鎖に導入された、ポリマー開発にも着手し、クマル酸系のビルディングブロックの構築を目指す。これらを通して、クマル酸系ポリマーの光応答性の制御を試み、クマル酸が導入されたポリマーの分子設計の幅を広げる予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた「旅費」と「人件費・謝金」に関わる出費の必要性が無くなり、次年度の装置購入に使用する可能性があるため。
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