2021 Fiscal Year Research-status Report
Detailed Viscoelastic Analysis for Semidilute Entangled Solutions of Polyelectrolytes Using Diffusing Wave Spectroscopy
Project/Area Number |
21K14686
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
松本 篤 福井大学, 学術研究院工学系部門, 助教 (20812978)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高分子電解質 / 拡散波分光法 / レオロジー / スケーリング則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,高分子量の標準ポリスチレンスルホン酸ナトリウムを試料,ポリスチレン粒子をトレーサー粒子とし,LS Instruments社のDWS RheoLabを用いて拡散波分光法(DWS法)により動的粘弾性測定を行った.その結果,以下の点について明らかにした.1.DWS法を用いることで10^1 rad s^-1から10^7 rad s^-1にわたる幅広い周波数範囲の複素弾性率結果を得ることができた.その結果,治具の変形に応じたトルク(力)を計測する一般的な粘弾性測定装置では観測できなかった,からみ合いに由来する複素弾性率の応答を観測することができた.2.平坦弾性率(Ge),レプテーション時間(trep),からみ合い鎖のRouse時間(te)を複素弾性率の周波数依存性から見積もり,それら物理量の繰り返し単位モル濃度(cp)依存性を評価した.いずれの物理量も以下のようなスケーリング則に従うことがわかった.Ge∝cp^(1.51±0.04),trep/te∝cp^(1.82±0.28) 3.求められたスケーリング指数を高分子電解質溶液のスケーリングモデルと比較した.その結果,モデルの考慮していないCLやCRRモードなどを導入する必要性があることがわかったが,いずれの物理量に関してもモデルが予測するスケーリング指数と良好な一致を示すことがわかった.この結果は,先行研究とは異なる結果であり,高分子電解質のからみ合いにおいて,静電相互作用の影響を観測するためには,高い分子量の試料を用いる必要があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予測通り,拡散波分光法を用いることで高分子電解質溶液のからみ合い粘弾性を観測することができ,系統的な粘弾性解析を行えたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,初年度に得た技術的な知見を応用し,塩添加の効果,ポリスチレンスルホン酸ナトリウム以外の高分子電解質への応用を検討していく.
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響により,試薬調達に時間を要しているため.
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Research Products
(2 results)