2021 Fiscal Year Research-status Report
再生可能資源からスマートに高吸水性ポリマーを創る選択的架橋反応の構築
Project/Area Number |
21K14687
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
宮田 真理 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (50804697)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分子間水素結合 / 構造制御 / 架橋反応 / 再生可能資源 / 吸水性高分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、バイオマス由来の高吸水性ポリマーの合成手法として、溶剤や反応物が再生可能資源で無害であること(Safe)、ポリマーの合成と精製が簡易であること(Simple)、ポリマーの吸水能力が高いこと(Smart)の3条件を満たす新規合成プロセスを提唱し、分子間相互作用を活用した選択的架橋反応の構築と高機能ポリマーの開発を目的としている。多糖類をはじめとする天然ポリマーとその誘導体、カルボン酸類、純水などの再生可能資源を用いた安全かつシンプルな反応条件で高吸水性ポリマーが得られる環境調和型プロセスを考案している。 初年度は、規則性ポリマーを鋳型とする反応条件の検討を行った。pH条件によって分子間相互作用の形態が変化する規則性ポリマーを鋳型ポリマーとして調製し、環境調和型プロセスの反応系に導入したときの効果を評価した。pH調整は架橋剤として使用しているカルボン酸類も活用した。特定の条件下で分子間水素結合を形成させて規則性を付与した多糖類を環境調和型プロセスに導入することで、反応性は大きく向上し、得られたポリマーの水素結合強度も大きくなることが確認できた。適したpH条件の選択でポリマー配列と反応選択性の変化が期待される。一方、モノカルボン酸のナトリウム塩を加えた反応条件で得たポリマーについては、吸水性の向上は確認できなかった。また、セルロース誘導体、ジカルボン酸、純水を用いた反応プロセスの精製後に固体状態のままで簡易な追加処理を行うだけで、得られたポリマーの吸水性能が向上することを見出した。尿などの電解質を含んだ液体における吸水性能についても生理食塩水を用いて評価し、既存の吸水性ポリマーと比較して高い吸水性能を示すことも確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境調和型プロセスを発展させ、ポリマーの吸水能向上をもたらす新たな手法を見出すことができた。また、pH条件によって形態が変化する規則性ポリマーの最適条件を検討し、ポリマーの分子間相互作用と反応選択性について評価することができた。以上の理由から、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
選択的架橋構造と独自に取り入れた吸水性置換基導入がポリマーの吸水性に与える効果として、水素結合強度や結晶性、および架橋密度と吸水性の関係等について評価し、高い吸水性能が得られるポリマーの合成条件を明らかにする。ポリマー配列構造の固定化は、初年度に見出した環境調和型プロセスの追加処理も取り入れて発展させる。得られた生成ポリマーについて材料特性を評価し、異なる反応条件で得られた選択的架橋構造と種々の置換基導入による効果を検証する。
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Causes of Carryover |
本研究で使用する測定装置のオプション品の構成について、初年度の実験結果を踏まえた最適条件で必要な物品を追加で揃える必要が生じたためである。より確実に実験を進めていくために、当初の次年度分の使用計画に加え、当該助成金も次年度に使用する計画で進めている。
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