2022 Fiscal Year Research-status Report
カチオン染料の還元と酸化を利用したポリプロピレン繊維の染色メカニズムの解明と応用
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21K14690
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Research Institution | Toyama Industrial Technology Research and Development Center |
Principal Investigator |
吉田 巧 富山県産業技術研究開発センター, その他部局等, 主任研究員 (80741751)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ポリプロピレン / 染色 / カチオン染料 / 液流染色機 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでガラスビーカースケールで染色実験に取組んできたが、本技術の実用化を目指し、まず染色ポット、次に小型液流染色機を用いて段階的にスケールアップ実験を行った。 これまでの研究では、5 cm×5 cmの生地(0.5 g)をガラスビーカー中で染色していた。本研究では、ポリエチレングリコール浴に染色ポットをセットする回転ポット染色機を用いて、スケールアップ実験を行った。容量440 mLのポットに、水100 mLと10 cm×13 cmの生地(4 g)、染料のBasic Blue 3を入れ、先行研究に従い、還元剤のD-グルコースを濃度が2 g/Lとなるように加え、染色を行った。その結果、ビーカースケールで実施した場合と比較して淡色の染め上がりとなった。この原因は、ビーカースケールよりも容器容量が増加したことから、還元工程を妨げる容器中の酸素の影響が強まったためであると推定した。そこで、還元剤をより強力なハイドロサルファイトナトリウムに変更し、添加量を8 g/Lに増加したところ、ビーカースケールで実施した染色結果と同等の濃度及び色合いに染色することができた。次に、染色ポットの容量をより大きな990 mLに変更し、水300 mLとA4サイズ生地(13 g)を入れ、前記の試薬及び添加比率で染色したところ、濃色かつ高彩度に染色することができた。また、青色染料以外に、赤(Basic Red 2)、黄色(Acriflavine)、オレンジ(Basic Orange 14)及び混合染料を用いて同スケールで染色を行ったが、いずれも良好な染色結果であった。 最後に、小型液流染色機を用いて長さ11 m、幅600 mmの生地をBasic Blue 3で染色したところ、良好に染色することができた。これらの成果は本技術の実用化に対して大きな前進を示すものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画において、2年目に実施予定であったスケールアップ研究を小型液流染色機を使用する段階まで達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画に従い、本技術のプリント(捺染)への応用を目指す。
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Causes of Carryover |
前年度に生じたコロナ禍による旅費等の繰越金のため。当該年度は計画通りに支出した。翌年度の物品費及び旅費として使用する。
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