2021 Fiscal Year Research-status Report
時分割X線異常散乱測定によるゼオライト結晶化メカニズムの解明
Project/Area Number |
21K14708
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
山田 大貴 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 回折・散乱推進室, 研究員 (50873684)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゼオライト / 二体分布関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シリコン源やアルミニウム源、構造規定剤(無機カチオンや有機カチオン)、アルカリ源、水を混合した後に一定時間水熱合成することで得られるゼオライトおよびその前駆体に対して量子ビームを最大限に活用した元素選択精密構造解析を実施し、前駆体構造中の構造規定剤周辺環境を可視化することを目指している。 昨年度は、ANAおよびRHOと呼ばれる種類のゼオライト合成系において、非晶質前駆体中のCs周辺の環境評価をex situ条件で実施した。これに先立ち元素選択精密構造解析の測定手法・解析手法に関して検討を実施し、実際に元素選択的な構造解析が可能なことを確認した。詳細な解析の結果、Cs周辺環境がこれら二つの系で特異的に異なること、またそれぞれの合成系でのCs周辺環境の構造形成が比較的大きなクラスター単位で形成すること(~0.7 nm程度)が初めて明らかになった。各種量子ビーム実験データを組み合わせた精密三次元構造モデリングの結果も含めて現在論文化を進めている。 放射光を用いた元素選択X線異常散乱時分割測定を実現するためには、均一・かつ濃厚な合成条件が必要である。原料濃度が希薄な条件では比較的安定した結果が得られているが、これを濃厚系へと展開すると攪拌などに問題が生じることが明らかになった。測定手法・解析手法の確立に関しては順調であるため、合成条件を最適化することができればゼオライト合成系に対するX線異常散乱時分割測定が実現可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究を推進する上で要となる測定手法・解析手法の検討に関しては極めて順調に進んでおり、すでにANAおよびRHOの合成系に関してはデータ取得・構造解析が終了している。また、これらの解析に各種量子ビーム実験データを組み合わせた精密三次元構造モデリングに関しても、古典MDの手法を組み合わせることでリーズナブルな構造が得られる条件を見出している。現在論文の投稿準備が終わっており、図の修正が終わり次第投稿予定である。 上述の理由から本研究が順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
均一・かつ濃厚な合成条件が時分割実験には必要である。原料濃度が希薄な条件では比較的安定した結果が得られているが、これを濃厚系へと展開すると攪拌などに問題が生じることが昨年度わかった。これを解決すべく時分解放射光測定に耐えうる合成条件のスクリーニングを進めており、時分割測定を実施・得られたデータからモデリングを実施することで論文化可能なデータがまとまる見込みである。
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Causes of Carryover |
今年度構造モデリングに試行的にスーパーコンピューター使用したが、非常に有用であることが明らかになったため次年度を活用したいと考えその費用分来年度に繰り越した。また学会がキャンセルになるなどの予定変更もあったため差額が生じた。今年度はCovid-19の情勢も落ち着きつつあるので国際学会へと参加したいと考えており、予算として全額消費予定である。
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Research Products
(1 results)