2021 Fiscal Year Research-status Report
実験とベイズ最適化を併用した蓄電池材料最適合成プロセス条件の合理的探索
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21K14715
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 はやみ 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70599000)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 蓄電池材料 / ベイズ最適化 / 合成プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、無機材料の最適プロセス条件の探索に、ベイズ最適化法が有効であるかを検証した。そのために、さまざまなプロセス条件で材料を合成して、データセットを作成した。対象材料として、全固体リチウムイオン電池の固体電解質として有望なLi型NASICON:LiZr2P3O12(LZP)を選択した。LZPの導電率は元素置換によって向上すること、さらに、複数元素の同時置換が有効であることが知られている。また、LZPは焼成温度によって、生成される結晶相が異なり、導電率が大きく変化することが報告されている。そこで、今年度は、LZPの導電率向上を目指し、LZPのZrおよびPサイトの一部を置換したサンプルの作製をターゲットとした。酸化物、炭酸塩、リン酸塩を原料として、数十種類以上の異なる焼成条件で、固相法によって合成し、密度、生成相、微細組織、イオン導電率などの特性評価を行った。その結果、焼成条件がこれらの特性に影響を与えることが確認された。これらの特性とイオン導電率の関係を調査したが、相関関係は複雑であり、高導電率を発現する材料の焼成条件を容易に推測することは困難であった。 最適焼成条件を最も導電率の高い材料が得られる焼成条件として、最適焼成条件探索におけるベイズ最適化法の効率性を検証した。実験で得られた導電率/焼成条件をデータセットとしてデモンストレーションを行ったところ、ランダムに探索する場合と比較すると、約1/2の探索回数で最適焼成条件を発見できた。すなわち、ベイズ最適化はこのようなプロセス条件の最適化にも有効であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固体電解質材料の最適プロセス条件探索にベイズ最適化が有効であることを確認できているため
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度より合成プロセス条件を複雑化する。具体的には原料の変更、焼成時間の変更などを予定している。これらの複雑な合成条件の最適化をベイズ最適化法を用いて行い、さらに導電率の高いLZP系材料の開発を試みる。
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Causes of Carryover |
アルミナボードなどの消耗品が繰り返し使用できたため、消耗品費が抑えられた。今年度は過酷な条件下での実験回数が増えるため、消耗品費用が増額する見込みである。
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