2021 Fiscal Year Research-status Report
金属有機構造体を正極活物質とした、正極/電解液界面における脱溶媒和の制御
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21K14727
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
清水 剛志 米子工業高等専門学校, 総合工学科, 特命助教 (50845386)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電極|電解液界面 / 脱溶媒和 / 金属有機構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、リチウムイオン電池の高速充放電を実現するため、電極反応を促進する活物質の設計が求められている。リチウムイオン電池の電極反応における律速段階は、電極|電解液界面におけるリチウムイオンの脱溶媒和であり、活物質表面の設計が重要である。しかし、活物質表面の設計が難しく、現状では脱溶媒和を促進するための知見が少ない。そこで、申請者は、溶媒分子のカルボニル基に着目し、親水基NH2を含む配位子の存在比を自在に調節できる金属有機構造体MOFを活物質とすることを考案した。すなわち、MOF表面の親水基NH2とカルボニル基との水素結合を駆動力とすることで、電極|電解液界面におけるリチウムイオンの脱溶媒和を促進できると考えた。本研究では、MOFの一つであるMIL-101(Fe)の配位子テレフタル酸をアミノテレフタル酸の存在比に対する脱溶媒和エネルギーの相関から、高速充放電可能な活物質表面の設計指針を得る。 合成したMIL-101(Fe)およびMIL-101(Fe)-NH2を正極活物質としたリチウムイオン電池の充放電測定を行ったところ、MIL-101(Fe)-NH2はMIL-101(Fe)よりも大きな容量を示した。また、電気化学インピーダンス測定では、MIL-101(Fe)-NH2はMIL-101(Fe)よりも小さな電荷移動抵抗を示した。このように、MIL-101(Fe)へのイオン挿入脱離が速やかに進んだことが示唆された。 本研究結果は、2021年に立命館大学SRセンターの紀要に投稿・掲載されており、置換基の導入によって電池特性を改善できる知見を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MIL-101(Fe)およびMIL-101(Fe)-NH2の合成およびそれを正極活物質としたリチウムイオン電池測定は完了しており、MIL-101(Fe)-NH2は高容量を示した。この結果より、置換基NH2によってリチウムイオンの溶媒和が活物質表面で促進された。また、電気化学インピーダンスの測定も継続中であり、MIL-101(Fe)-NH2はMIL-101(Fe)よりも小さな電荷移動抵抗を示した。このように、MIL-101(Fe)へのイオン挿入脱離が速やかに進んだことが示唆されている。 本研究結果は、申請者らによって2021年に立命館大学SRセンターの紀要に投稿・掲載されており、置換基の導入によって電池特性を改善できる知見を公表した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、表面分析と第一原理計算により、MIL-101(Fe)およびMIL-101(Fe)-NH2と電解質の界面におけるイオンの挙動を解析する。具体的には、電気化学インピーダンスによってイオン伝導率の温度依存性をプロットすることで、算出した活性化エネルギーからMIL-101(Fe)およびMIL-101(Fe)-NH2へのイオン挿入脱離を速度論的に解釈する。また、ESM-RISM法などにより、置換基NH2によって脱溶媒和がどれだけ促進されるかをシミュレーションすることで、実験結果を深く理解する。さらに、疎水基を有するMIL-101(Fe)-CH3、および親水基と疎水基を任意の割合で含まれるMIL-101(Fe)の合成、測定・解析を同様の手法で行う。
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Causes of Carryover |
消耗品費として、MIL-101(Fe)を合成するための試薬、電池作製の部品に充てる。また、共同研究の旅費として、残金を使用する。
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Research Products
(1 results)