2021 Fiscal Year Research-status Report
次世代水素ステーション実現に向けた太陽熱活用熱駆動水素圧縮の研究
Project/Area Number |
21K14732
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
五舛目 清剛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (70790476)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 水素 / 水素吸蔵合金 / 水素圧縮 / 太陽熱 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は太陽熱を用いた熱駆動水素圧縮の実証試験を行い、太陽熱を如何に圧縮仕事に変換可能か検証することで、当圧縮技術の一般普及の可能性を探る。具体的には国内のPEM(Polymer Electrolyte Membrane)型水電解の水素製造圧力である1MPa程度以下から、太陽熱を用いて20MPaへの水素圧縮を検討する。 水素吸蔵合金の水素放出吸蔵圧力の温度依存性評価 本年度は候補となる水素吸蔵合金の水素吸蔵放出圧力の温度依存性評価及び、太陽熱パネルによる集熱実験設備構築及び集熱データ取得の実施を行った。本研究で用いる合金は、安全性を考慮して消防法危険物第二類、第三類に該当しない可能性が高い合金種を候補とするため、微粉化傾向が比較的低いBCC(body-centered cubic)型の評価を行った。選定した合金の水素吸蔵放出圧力の温度依存性評価では、異なる温度4点におけるPCi(Pressure-compsition-isotherm)特性を取得することで、水素吸蔵圧力1MPa以下を実現する平衡温度及び放出圧力20MPa以上を得るための平衡温度、その際の有効水素量の情報を得た。 太陽熱集熱パネルによる集熱特性評価 本研究では汎用太陽熱パネルの内、比較的高温度域の集熱が可能な真空管式太陽熱パネルを用いて最高200℃程度の温度域までの集熱性能評価を行った。集熱実験は100℃以上でも安全に集熱が可能な消防法危険物非該当のシリコンオイルを循環させることで行い、オイル循環流量、パネル出入口温度、日射強度をモニタした。これらのデータより集熱量やエクセルギーを算出し、これらを最大化する日射量に応じた最適な循環流量を検討することができた。 今後は太陽熱集熱で利用可能な温度域に適合する合金を選定し、熱駆動水素圧縮の実証試験の実施及び熱解析ソフトによって合金容器設計の考察を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水素吸蔵合金の水素吸蔵放出圧力の温度依存性評価では、10MPa以下の領域における特性評価を系統的に実施することができ、また太陽熱集熱パネルを用いた集熱実験も遂行することができており、計画に大きな遅れはない。一方想定している高温高圧域での水素放出特性は、10MPa以下における圧力温度依存性評価の外挿から予測するに留まり、実測するには至らなかった。今後有力候補の合金を選定後、10MPa以上の高圧域での放出特性取得を実施していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度に実施した水素吸蔵合金の水素吸蔵放出圧力の温度依存性評価及び太陽熱集熱試験の結果より、適切な合金を選定する。選定した合金についてまずは少量試験で、高温高圧域(最高200℃, 100MPa)の水素放出特性の取得及び、最低限の耐久性を確認する。最後に実際に太陽熱パネルからの熱媒を供給により合金を加熱することで、太陽熱による熱駆動水素圧縮の原理実証試験を実施する。
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Causes of Carryover |
太陽熱集熱試験に使用するシリコンオイルの使用量が当初想定より少なく抑えられたことによる。次年度は選定した合金及び太陽熱源による水素圧縮の原理実証試験を行う予定であり、ここで用いる合金、水素ボンベ、シリコンオイルの取得に充てる予定である。
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