2022 Fiscal Year Annual Research Report
Band Structure Engineering of Triazine Covalent Frameworks toward Water Splitting Electrocatalyst
Project/Area Number |
21K14734
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Research Institution | Sagami Chemical Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 宏亮 公益財団法人相模中央化学研究所, その他部局等, 副主任研究員 (10815955)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共有結合性有機骨格 / トリアジン / ネットワークポリマー / 電極触媒 / 酸素還元 / 2次元材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
【2022年度の研究実施内容】本研究では、トリアジン共役骨格を合成・分析・評価し、(1)分子構造と集積構造の関係(2)分子設計によるバンド構造制御の可能性(3)分子構造と酸素還元電極触媒活性の関係、について調べた。(1)に関し、昨年度見出した、“長距離相互作用を有するヘテロ環の組み合わせた平面性リンカーユニットの有用性”に基づいて、新たにリンカー部位を増やした材料を設計した。単位ユニットの最安定配座は2次元性であったが、得られたトリアジン重合体は非晶性であった。ネットワーク結節点間の距離増加のため、相互貫入構造の形成が優先したと考えられる。(2)に関し、ドナーユニットに更に電子供与性置換基を導入することで、よりバンドギャップを狭小化できることを見出した。(3)に関し、2022年度に新規に合成したドナー-活性点-アクセプタ型重合体は、酸素還元反応の触媒活性が向上した。材料特性の位置づけは、報告されている構造が明確な有機材料として、最高性能に匹敵する値であった。この結果は、本研究で提案している、トリアジン重合体の分子設計に基づいたバンドエンジニアリングや形態制御により電極触媒活性を向上させる、という戦略のモデルケースといえる。 【研究の意義】含ヘテロ芳香環トリアジン重合体の集積構造・形態・物性を比較し、電極触媒としての特性との相関を考察した。トリアジン重合体の分子設計により、有機材料を電極触媒としての特性を向上せしめるための指針を見出した。これは、近年注目されている共有結合性有機骨格材料の応用展開の一端を担うものであり、意義があるといえる。 【研究成果の重要性】現在、燃料電池や水電解の電極触媒にはプラチナを代表に貴金属合金が用いられている。金属元素を用いずに、これを代替するための研究は、持続可能社会の実現に向けて今後一層の加速が求められているため、本研究の重要性は高いといえる。
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