2021 Fiscal Year Research-status Report
Artificial design of living polymerizing proteins
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21K14737
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松長 遼 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70895466)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 蛋白質工学 / イソペプチド結合 / 重合 / ブレビバチルス発現系 |
Outline of Annual Research Achievements |
Spy0128はNTDとCTDの2ドメインからなる蛋白質であり、各ドメインに1つずつイソペプチド結合が存在する。NTDのN末端のβストランドをNP、NPを除去したNTDをNTDΔ、CTDのC末端のβストランドをCP、NPを除去したNTDをCTDΔと呼ぶことにする。Spy0128をNTD-CTDと表記することにすると、NPとNTDΔ-CTD、CPとNTD-CTDΔはそれぞれ自発的にイソペプチド結合を形成することが明らかにされている。一方で、NTDΔ-CTDΔはCPとは反応しないことがわかっており、ドメイン間の相互作用が反応性を制御していると推測される。そこで、NP-CTDΔ、CP-NTDΔに対して適切な開始剤を与えることで、イソペプチド結合の形成を通じた一方向的なフォールディングを促し、結果としてリビング重合が可能となるのではないかと考えた。 実際に、NP-CTDΔ、CP-NTDΔを発現精製し、混合したところ、意外なことに開始剤なしでも互いに反応し、重合性を示すことが分かった。単独では重合性は確認されなかったことから、交互共重合体の形成が示唆された。SDS-PAGEによる反応の経時変化解析の結果、興味深いことに、四量体単位(ヘテロ二量体の二量体)で重合する傾向があることが明らかになった。ヘテロ二量体構造がSpy0128全長に相当するが、Spy0128自体は単独で二量体を形成しないため、今回の設計によるものであると考えられる。 また、迅速かつ高効率な蛋白質発現を可能とするブレビバチルス発現系の改良に取り組んだ。96ウェルプレートの培養容器としての利用と、培地へのアルギニン塩酸塩とプロリンの添加により、従来発現困難とされていた各種蛋白質の分泌発現に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的であるリビング重合性蛋白質はまだ得られていないが、その過程においてイソペプチド結合により交互共重合するユニークな機能を有する蛋白質を得ることができた。さらに、多数の蛋白質の機能・物性評価を可能にする、ハイスループット発現系を開発することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
交互共重合する蛋白質の物性解析を進めるとともに、当初目標であるリビング重合する蛋白質の設計を進める。前年度に得られた交互共重合する蛋白質はヘテロ二量体化により反応性が向上すると考えられ、この現象をヒントに目的の分子設計につなげる。イソペプチド結合の反応性は1残基レベルの設計の違いで大きく変化するため、多数の設計分子を実験的に検証する。そのため、新たに開発したブレビバチルス発現系を活用し、ハイスループットな解析を行う。
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Causes of Carryover |
令和3年度は反応性を指標に分子設計に取り組み、物性解析はほとんど実施しなかったため、予定よりも支出額が少なくなった。令和4年度は最適化した分子に対する物性解析を行う予定のため、令和3年度に使用しなかった額も合わせて使用し、研究を加速する。
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