2021 Fiscal Year Research-status Report
Rational construction of artificial phase separation for cell engineering with designed peptides
Project/Area Number |
21K14739
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三木 卓幸 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (20823991)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 液-液相分離 / 設計ペプチド / 蛋白質集積化 / 自己集合 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内では、特定の蛋白質群が濃縮した区画(オルガネラ)が形成され、機能を発現する。そこで、筆者は細胞内で任意の蛋白質群を集積化し、人工オルガネラを構築する技術を確立できれば、細胞工学に応用展開可能な基盤技術になると考えた。本若手研究課題の目標として、「非膜オルガネラとして知られる液-液相分離構造の合理的な構築法の確立」を設定した。細胞内で蛋白質を集積化する手法として自己集合性ペプチド(Self-assembling peptide, SAP)に注目した。SAPはバイオマテリアルを用途として開発されてきた材料であり、水溶液中で自発的に集積化する特徴をもつ。このペプチドを蛋白質の集積化タグとして用いることにした。本年度(1年目)では、疎水性のTyrと親水性のGluとLysのアミノ酸残基を繰り返したY15ペプチドが、細胞内で集積化に適したタグであることを見出した。さらに、このタグを用いることで細胞内の天然の相分離構造を模倣できることを実証した(Miki et al.Nature Commun. 2021)。また、鎖長の異なるタグを併用することで、集積化の割合を自在にコントロールできることを実証した(Miki et al. Chem. Commum. 2021)。さらに、SAPタグの疎水性残基を変えることで、集合体のサイズ等を調節できることを示し、更には2つの集合体を細胞内で独立して形成できることを示した(Miki et al. ACS Synth. Biol. ASAP)。このように、本年度は当初の計画以上に進展し、SAPタグによる研究アプローチが、細胞内での合理的な構造体形成に優れていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した、令和3年度の研究項目「(1)設計ペプチドを用いたcross-β構造の形成」、「(2)多価ペプチドによる架橋形成」を完了し、すでに論文として報告している(Miki et al. Nature Commun. 2021; Miki et al. ACS Synth. Biol. ASAP)。更に、令和4年度の研究項目として示した「(3)ゲスト分子のリクルート技術の開発」も完遂し、こちらも論文として報告した(Miki et al. Chem. Commun. 2021)。加えて、検討項目「(4) de novo相分離構造を用いたメカニズム解明及び細胞工学応用」に関しては、現在すでに実験を開始している。以上のことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の次年度では、交付申請書に記載した「(4) de novo相分離構造を用いたメカニズム解明及び細胞工学応用」を遂行し、タグ技術を用いたアプリケーションを実証していく。また、加えて、これらのタグ技術を、相分離構造のサイズや物性をコントロールできる手法や、相分離の形成・崩壊といった動的挙動を付与できる手法に磨き上げる。
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Causes of Carryover |
本年度は残額が発生し翌年度に繰り越しを行う。残額が生じた理由としては、国際学会や国内の学会が全てオンライン開催に変更となったことや消耗品試薬を本来のプロトコルよりも節約して用いたこと、ピペットマン等の機器の購入を延期したことが挙げられる。次年度では、よりアプリケーションを重視した検討にシフトするため、高額な遺伝子材料を数多く購入する必要があり、また測定に必須な高額なキットや抗体を要することから、残額をこれらの購入費に充てる。また、フローサイトメトリや共焦点顕微鏡などの高額な共用機器を用いた研究が主となるため、その利用費にも充てたい。
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Research Products
(9 results)