2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムのツボを押さえて使うための構造機能相関解析ツール「PyDISH」の開発
Project/Area Number |
21K14741
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
兼松 佑典 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 助教 (10765936)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 統計解析 / データベース開発 / 量子化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヘムの構造機能相関の解析手段の確立を目的として、これまでにウェブアプリケーション「PyDISH」へのデータの拡充と自動更新の実装をおこない、また自動更新のアルゴリズムを転用することで任意の金属補因子について統計解析する機能を実装し、Google Colab上で誰でも使えるように公開した。最終年度には、PyDISHにユーザがアップロードした構造を解析する機能の実装と、ヘムタンパク質の機能予測に対する機械学習手法の適用可能性についての検討を行った。 1. 新規解析ツールの実装: シミュレーション等で取得したヘムの構造の特徴付けを行うための解析ツールをPyDISH上に実装した。これによってユーザの持つヘムの構造データをPyDISHにアップロードすることで構造歪みの特徴を抽出し、他のヘムと比較することが可能になった。更に、ヘムの歪みに基づいて量子化学計算によって得られる酸化還元能と酸素吸着能の物性値の近似値を与える機能も実装した。 2. ヘム機能予測についての検討: ヘムのポルフィリン骨格構造ひずみの程度を説明変数として、ヘムタンパク質の機能分類を行った。PyDISHから酸素運搬タンパク質と、酸化還元酵素のヘムのポルフィリン環の構造歪みの情報を取得し、タンパク質機能との間に潜在する相関関係をランダムフォレスト分類器に学習させ、テストセットに対する予測精度を評価した。その結果、9割の正答率で予測できることが確認され、ヘムの構造歪みのみでこの2つの機能の分岐は十分に説明付けられることが明らかになった。 以上の成果より、これまでに実装した機能を組み合わせて、構造歪みや物性値を説明変数とした教師あり学習法を実装することで、ヘムタンパク質の機能予測や、ヘムタンパク質の機能分岐をもたらす「ツボ」を明らかにできると期待される。
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Research Products
(5 results)