2022 Fiscal Year Annual Research Report
生体内光分子操作技術を指向した新規光環化反応の開発
Project/Area Number |
21K14749
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡村 秀紀 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60832293)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光化学 / 光反応 / 含窒素芳香環 / フェナントリジン / 環化反応 / ケミカルバイオロジー / 光薬理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
薬理活性を時空間制御できる光分子操作技術は、様々な生命現象の解明や高精度な治療に有用な方法論として、近年大きな注目を集めている。しかし、生体応用可能な光化学反応はきわめて限られており、より幅広い種類の化合物の光制御を実現するためには、新規光化学反応の開発が必要不可欠である。このような背景のもと、本研究では、より幅広い種類の薬理活性化合物の光制御を可能とする、含窒素芳香環を構築可能な新たな光化学反応の開発を目的とした。 本年度は、昨年度見出したo-ニトロベンジルオキシムエーテルを用いる新規光環化反応について、詳細な反応機構解明を試みた。本光反応には、イミニルラジカルが中間体として関与すること、および酸化過程に溶存酸素が関与するという仮説のもと、ラジカルトラップ実験と過酸化水素検出実験を行った。これらの実験結果より、反応機構を明らかにすることに成功した。汎用的な光感受性基であるo-ニトロベンジル基を用いることで、イミニルラジカルを生成できることを明らかにしたのは本研究が初めてであり、光化学的な側面からも非常に重要な知見が得られたと考えている。また、培養細胞を用いた光反応について詳細な検討を行い、光環化に伴うフェナントリジン誘導体が得られていることを確認することにも成功した。本研究で開発した新規光環化反応は、従来法では困難であった薬物分子の光制御を可能とし得ることから、ケミカルバイオロジー研究や創薬研究を加速できると期待される。
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