2021 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミックな構造異性化特性をもつ分子による自動構造最適化システムの実証
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21K14753
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 柾彦 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (10890204)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 創薬探索技術 / 自動最適化 / 構造異性化 / ケミカルバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究提案では、1)ダイナミックな構造異性化特性をもつ3D小分子の合成、2)ダイナミックな構造異性化特性を利用して、3D分子が自動でその構造を最適化することの実証の2つが達成目標である。 研究計画初年度の2021年度は、本研究課題の中核をなす分子、「ダイナミックな構造異性化特性をもつ3D小分子」の合成に取り組んだ。現在、最終化合物の合成には至っていないが、既報の合成法を一部改変しながら合成を遂行し、概ね順調に進行している。構造異性化特性は3D分子に導入する置換基に依存するため、構造自動最適化を行うのに最適な置換基をもつ分子を合成するため、様々な誘導体の合成とそれら3D分子の溶液中での構造異性化挙動の取得に取り組む。また、2)の構造自動最適化を実証するためには、分子構造の解析が重要である。研究提案段階では、X線結晶構造解析およびNMR解析による解析を考えていた。しかし、X線結晶構造解析は試料調整が簡便ではなく、NMR測定では高濃度の試料が必要なのに加え、標的分子の大きさよっては制限を受ける。そこで、1)の3D分子の合成と並行して新たな構造解析手法の開発にも取り組んだ。 2022年度では、目的とする3D分子の合成を完了し、導入する置換基が構造異性化挙動に与える影響をNMR測定およびHPLCを用いた解析により明らかにし、本研究の実証に最適なモデル分子を開発する。さらに、構造解析技術の確立を並行して進めることで、3D小分子の合成後、速やかに構造自動最適化の実証を遂行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の中核をなす、「ダイナミックな構造異性化特性をもつ3D小分子」の合成に取り組んだ。既存の合成方法を参考に2種類の合成法を提案し、有機合成を実施した。目的とする最終化合物の合成には至っていないが、概ね順調に進展している。また、本研究課題では、3D小分子の自動最適化後における分子構造の解析も重要である。研究提案段階ではX線結晶構造解析およびNMR解析による解析を考えていた。しかし、X線結晶構造解析は試料調整が簡便ではなく、NMR測定では高濃度の試料が必要なのに加え標的分子の大きさよっては制限を受ける。本研究課題での解析を効率よく遂行するため、新たな構造解析手法を考案し、3D分子の合成と並行して開発に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
「ダイナミックな構造異性化特性をもつ3D小分子」の合成に関しては引き続き実施し、目的とする最終化合物の合成を達成する。合成後、3D小分子の溶液中におけるダイナミックな構造異性化特性をNMR測定およびHPLC分析により調査する。3D小分子の合成と並行して、自動最適化後の3D分子の構造を解析する技術開発にも取り組む。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:コロナの影響で出張および学会参加ができず、旅費に計上する支出が発生しなかった。その分を実験に必要な消耗品の購入にあてたが、2021年度に満額分の消耗品を必要としなかったため。 使用計画:消耗品および化学合成に必要な試薬を購入する。
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