2021 Fiscal Year Research-status Report
光合成効率の向上と頑健性強化を両立させたイネ作出への挑戦
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21K14758
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| Research Institution | Fukushima University |
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Principal Investigator |
菅波 眞央 福島大学, 食農学類附属発酵醸造研究所, 特任助教 (30897492)
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| Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | 光合成 / イネ / Rubisco / Rubisco activase / フラビンタンパク質 / P700酸化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、RubiscoとRubisco activase(RCA)の改変による光合成効率の向上と、光化学系I電子シンクとして機能するフラビンタンパク質(FLV)の導入による光合成頑健性強化を組み合わせることで、光合成効率と頑健性を両立させたイネ作出を目指す。
本年度はまず、Rubisco・RCA・FLV三重増強イネの作出に取り組んだ。Rubisco・RCA同時増強イネとFLV導入イネを交配させることで、Rubisco増強、RCA増強、FLV発現の3つの導入遺伝子を持つ系統を選抜した。選抜したF1世代から採取し、F2世代にて、リアルタイムPCR法により、それぞれの導入遺伝子がホモ化された系統を複数選抜した。現在、選抜系統の種子の増殖に取り組んでおり、十分量の種子が得られた系統について、F3世代を用いて次年度の実験を行う予定である。
また、RCA・FLV導入イネの光合成機能解析を行った。RCA増強イネでは、光化学系I反応中心クロロフィルP700の酸化型の割合が低下することで、光合成頑健性が低下し、弱光条件下での光合成速度も低下していた。一方、RCA増強イネにFLVを導入したイネでは、酸化型P700の割合が野生型イネと同程度であり、光合成速度の低下も見られなかった。この結果から、FLVの導入によってRCA増強による光化学系Iの不具合は解消されることが明らかとなった。
これらの研究成果をまとめ、筆頭著者論文として国際誌Journal of Experimental Botany誌にて発表した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rubisco・RCA・FLV三重増強イネは作製を進めている段階であるが、候補系統を複数得られており、種子を増殖した後、すぐに解析を開始できる状況である。
また、先行して作出を進めていたRCA・FLV導入イネの解析から、本研究課題の核心となるFLV導入によってRCA増強による光化学Iの不具合を解決できることを明らかにし、その結果をまとめ、原著論文として発表することができた。この結果から、Rubisco・RCA・FLV三重増強イネにおいても、光化学系Iの不具合は解消されていることが期待できる。
よって、概ね順調に進展していると言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、Rubisco・RCA・FLV三重増強イネの種子が十分量まで増殖できた段階で、光合成炭酸固定速度、光化学系I, IIパラメーターを含めた包括的な光合成機能解析を行い、野生型イネ、Rubisco増強イネ、Rubisco・RCA同時増強イネとの比較解析を行う。また、野外光強度を模した強光照射実験や、連続パルス光照射実験により、光合成頑健性の評価も行う予定である。
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| Causes of Carryover |
申請時から、研究代表の所属が変更となったことで、使用計画が一部変更となった。
まず、人工気象室にて変動光環境を再現するための照明装置を購入する予定であったが、現在の所属で設置されている人工気象器のタイプが異なるため、購入を見送ることとした。また、高照度キセノンランプの購入も予定していたが、現所属にて代替となる照明装置が使用可能なため、購入をやめた。
次年度以降の光合成解析、及び栽培試験について、現在の所属部署でも行うが、一部の実験は、以前の所属である東北大学の設備を使用して行う予定である。購入を見送った、またはやめた上記の物品代金の予算は、東北大学での実験を行う際の機械使用料、出張費用に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)
