2022 Fiscal Year Research-status Report
ナス科植物の「がく」に存在する新規栄養分配機構の解明
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21K14761
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Research Institution | Research Institute of Environment, Agriculture and Fisheries, Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
荒川 竜太 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所(環境研究部、食と農の研究部及び水産研究部), その他部局等, 研究員 (40761648)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 尻腐れ / ホウ素 / トランスクリプトーム / がく |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度尻腐れが顕著に発生し、かつ植物体の生育に影響を及ぼさなかった窒素条件においてパプリカをロックウールで栽培した。パプリカは、開花後20日前後の果実肥大期に尻腐れが発生すると報告があるため、尻腐れ発生前後にあたる開花後14日目、21日目の果実についてサンプリングし、それぞれ果柄、がく、胎座、上皮および下皮に切り分けてRNA抽出を行った。パプリカ果実のRNAは想定以上に分解が早く、計画していたライブラリ調整方法では十分なRNA量が得られなかったため、調整手法を変更してトランスクリプトーム解析を行った。ドライ解析については、トウガラシゲノムデータに対しマッピングを行い、特に尻腐れに関係があると示唆されているホウ素およびカルシウムが関連する遺伝子を中心に現在解析を行っている。 また、トランスクリプトーム解析で用いた果実各部位についてICP-MSによる元素の網羅的解析も行った。トランスクリプトーム解析で得られた結果と合わせて、実際のホウ素やカルシウム濃度と遺伝子発現量との関係性や果実部位による変化についての解析も行っている。 果実内組織・細胞におけるホウ素の局在分析については、昨年度と同様に切片作製および染色の条件検討をおこなった。その結果、手法確立に目途がついてきたため次年度に評価を行う。具体的には、上記同様に果実各部位ごとに切り分け、それぞれに対し切片を作成し、ホウ素の局在性について視覚的に明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パプリカ果実を部位別に切り分けて分析を実施し、がくをはじめとした果実の各部位におけるカルシウムおよびホウ素の量的な取り込みと遺伝子発現との関係について明らかにすることを目指した。2年目の本年度は上記の通りライブラリ調整の変更等で想定以上の時間を要したため、ドライでの解析を終えることができなかったため、計画からやや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
ドライ解析については早急に実施する。3年目も2年目と同様に栽培・分析を行い、年次間差による影響を評価する。ホウ素の局在分析については、大阪公立大学ホウ素薬剤化学研究室の協力を頂きながら、同研究室が開発した蛍光型ホウ素センサーのDAHMIを用いて染色を行い、果実部位ごとの局在性を明らかにする。さらに、これらの結果が得られた時点で早急にまとめ、論文として公表していくことを進める。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定のトランスクリプトーム解析に際し、ライブラリ調整を変更して時間を要したため、その後の解析をサンプル数(反復数)を減らして実行した。そのため、解析未実施の残りのサンプルについては、次年度のトランスクリプトーム解析の際に同時に解析を行う予定である。
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