2021 Fiscal Year Research-status Report
The effect of reinforcement of nucleic acid metabolism to environmental stress
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21K14773
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
清 啓自 宮崎大学, 農学部, 助教 (80780767)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Clostridium / アデニン代謝 / 芽胞 / ブタノール |
Outline of Annual Research Achievements |
培地中へのアデニン添加によって耐熱性を獲得するC. saccharoperbutylacetonicum N1-4においてアデニン代謝に直接関与する遺伝子の破壊株において、アデニン代謝能を欠失しているもののアデニン添加時においても野生株と比べ若干の耐熱性の増強が確認できている。また、当株は野生株が早期に芽胞前駆体用の構造を形成し、これが高温条件下での発酵抑制の一因と考えていたが、この破壊株は高温下で野生株と同様の構造物を形成するものの増殖能、ブタノール発酵能は回復がみられた。温度条件下で類似した芽胞用本来はアデニンによって誘導されている当遺伝子の破壊によりアデニンでの耐熱性獲得を欠失する想定であったため想定外の結果となっているが、アデニン代謝に関与する遺伝子が耐熱性自体に直接的に関与している可能性を示唆している。 一方で、大腸菌においてN1-4から増幅した当遺伝子の過剰発現株を構築し、その細胞増殖について評価したところアデニン非添加でも細胞増殖の増大が確認された。このため、アデニン代謝に関わる当遺伝子が細胞増殖そのものに対して影響を及ぼしていることを示唆している。 また、アデニン添加時の細胞の状態をTEMにより観察を行ったが、明確な細胞内部の構造物における形態の差異はみられていない。TEMによる観察において細胞形態の破損が培養進行に伴い著しく生じるため、TEM観察用のサンプルの回収時間および前処理方法について再検討が必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では昨年中に同位体標識したアデニンによるアデニン中のアミノ基の代謝運命をフラックス解析により明らかにする予定であったが、上述したようにアデニン代謝遺伝子の破壊株において想定外の結果が得られたことから、そちらへ注力することにした。このため、結果として当初の計画進行において一部で遅れが発生している。
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Strategy for Future Research Activity |
C. saccharoperbutylacetocnium N1-4におけるアデニン代謝遺伝子の破壊株において、その耐熱性の変化が何に起因しているのかを解析を進めていく。主に遺伝子転写の面から解析を行う。 一方で当株由来のアデニン代謝遺伝子の過剰発現株が大腸菌の増殖そのものを引き上げていたことから、大腸菌自体のアデニン関連遺伝子群の破壊株を構築し、富栄養と貧栄養の両条件下における増殖能と、ストレスに対する耐性変化について解析を試みる。 また、アデニン代謝関連遺伝子における解析として大腸菌はグラム陰性菌であることから、N1-4とは細胞構造には差異がある。そのため、N1-4と同じくグラム陽性細菌で形質転換系が確立されているBacillusを用いて、N1-4と同様にアデニン代謝関連遺伝子群の破壊/発現によるストレス耐性への寄与について解析を進める。
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Causes of Carryover |
年度内に納品予定であった物品がコロナの影響により納品が遅れが生じたため、結果として残額が生じた。
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