2021 Fiscal Year Research-status Report
非嗅覚組織に発現する嗅覚受容体のリガンド輸送機構の解明
Project/Area Number |
21K14781
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永嶌 鮎美 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (20814461)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嗅覚受容体 / 異所発現 / トランスポーター / 輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鼻以外に発現する嗅覚受容体周辺で高発現する輸送体の新規輸送基質の同定、ならびにその活性調節における嗅覚受容体の関与を検証することで、非嗅覚組織に発現する嗅覚受容体に対するリガンドの輸送機構を解明する。 短鎖脂肪酸は、鼻以外に発現する嗅覚受容体Olfr558およびOlfr78に受容されることで生理機能に関わることが明らかとなってきた。しかし、どのような分子によって短鎖脂肪酸が取り込まれ、受容体に到達するのかは不明である。また、嗅覚受容体の活性化が、周辺に発現する輸送体の基質輸送に与える影響も明らかではない。 本年度はアフリカツメガエル卵母細胞を用いたswelling assayにより、ヒトおよびモルモットのアクアグリセロポリンAQP10の活性測定を行った。アフリカツメガエル卵母細胞は、cRNAを導入することで効率良く膜タンパク質を発現させることができるため、膜に発現する輸送体の解析に適した実験系である。その結果、これらの輸送体について、いくつかの化合物の輸送活性を測定することに成功した。 また、輸送体発現細胞を、短鎖脂肪酸水溶液に浸してインキュベーションしたのち、有機溶媒で抽出したサンプルを分析し、細胞に取り込まれた短鎖脂肪酸を同定するといった実験のため、当初計画していたLC-MS/MSだけでなく、HPLCを用いての有機酸の検出系の検討を行った。その結果、一部の有機酸については未だ検出できていないものの、有機酸標品の検出および定量が概ね可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既存の公開データだけでなく、マウス組織を対象としたRNAシーケンス解析による、嗅覚受容体発現組織に発現する輸送体の探索と解析候補選定の必要が生じたため。また、in vitroの発現系での活性測定の条件検討に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果をふまえ、RNAseqの結果から優先して解析する輸送体の選定、発現細胞の同定を行う。同時に、候補のトランスポーターを発現させた細胞抽出液について、HPLCを用いての有機酸の検出法で輸送基質の検出が実際に可能か試みる。さらに、in vitroの系における嗅覚受容体と輸送体の再構成系の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
マウスのある嗅覚受容体発現組織を対象として、RNAシーケンス解析による輸送体の探索と解析候補選定の必要が生じたが、準備等のため今年度ではなく、次年度に行うこととしたため。次年度使用額はRNAシーケンス解析の受託費用、分子生物学実験、生化学実験に必要な試薬、消耗品類、および共通機器として学内に設置されている分析機器利用料に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)