2022 Fiscal Year Research-status Report
非嗅覚組織に発現する嗅覚受容体のリガンド輸送機構の解明
Project/Area Number |
21K14781
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
永嶌 鮎美 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (20814461)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 嗅覚受容体 / 異所発現 / トランスポーター / 輸送体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鼻以外に発現する嗅覚受容体周辺で高発現する輸送体の新規輸送基質の同定、ならびにその活性調節における嗅覚受容体の関与を検証することで、非嗅覚組織に発現する嗅覚受容体に対するリガンドの輸送機構を解明する。 短鎖脂肪酸は、鼻以外に発現する嗅覚受容体Olfr558およびOlfr78に受容されることで生理機能に関わることが明らかとなってきた。しかし、どのような分子によって短鎖脂肪酸が取り込まれ、受容体に到達するのかは不明である。また、嗅覚受容体の活性化が、周辺に発現する輸送体の基質輸送に与える影響も明らかではない。 本年度はアフリカツメガエル卵母細胞を用いたswelling assayにより、前年度に解析した生物種以外に四肢動物、古代魚、硬骨魚類のアクアグリセロポリンAQP10の活性測定を行った。アフリカツメガエル卵母細胞は、cRNAを導入することで効率良く膜タンパク質を発現させることができるため、膜に発現する輸送体の解析に適した実験系である。その結果、これらの輸送体について、輸送活性を比較することに成功した。その成果は3月に学会発表を行い、現在論文投稿準備中である。また、魚類特異的とされてきたslc12a10遺伝子が、哺乳動物などの四肢動物にも存在することを明らかにした。 さらに、輸送体と嗅覚受容体の発現解析対象の組織を追加した。これについては先進ゲノム支援に採択されたため、組織採取方法を検討し、RNAシーケンス解析用のサンプルを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一部の生物に関しては、公共データベースに登録されているAqp10遺伝子の配列が不完全であり、クローニングに時間を要したため。RNAシーケンス解析用の組織の分取方法を途中で変更したことにより、採取方法の検討と習得に時間を要したこと、また、サンプルのクオリティチェックのためqPCR実験の必要が生じたことからRNAの送付が遅れ、解析は次年度に持ち越しとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な生物のAqp10に関しては、基質選択性を生じさせるメカニズムの解明を進める。また、RNAシーケンス解析および情報解析の結果が得られたら、優先して解析する輸送体の選定と発現細胞の同定を行う。
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Causes of Carryover |
先進ゲノム支援に採択されたため、RNAシーケンス解析の費用が不要となったため。次年度は論文投稿費用および今年度参加できなかった学会への参加費用にあてたい。
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Research Products
(5 results)