2021 Fiscal Year Research-status Report
酵素電気化学反応の向上を目指した主成分分析法による酵素変異体の分子設計指針の確立
Project/Area Number |
21K14782
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高村 映一郎 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (30843015)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルチ銅オキシダーゼ / 電気化学スクリーニング / 主成分分析 / 変異体設計 / 生物電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、e-テキスタイルや生体内センシング応用へ期待されるバイオエレクトロニクス用デバイスにおいて、電極触媒として用いられる酸化還元酵素の酵素電気化学反応の向上を目指した変異体分子設計指針の確立を目的とする。 2021年度は、優れた熱安定性・長期安定性を有する超好熱性アーキアPyrobaculum aerophilum由来マルチ銅オキシダーゼ(McoP)をコードする遺伝子に対して、ランダム変異を導入した後に大腸菌へ導入した変異体ライブラリに対して電気化学スクリーニングを実施した。酵素を大腸菌等の宿主を用いて発現させた場合、宿主由来の夾雑タンパク質が存在するため、酵素電気化学反応の評価のためには時間のかかる酵素の精製が必要である。しかし、McoPは常温生物由来の酵素では失活してしまう80℃の熱処理でも失活することがないため、熱処理によって大幅にMcoP以外の夾雑タンパク質を除去することが可能である。野生型McoPと、これまでに既に報告している、酵素電気化学反応の向上したMcoP変異体を用いて電気化学スクリーニングの条件について検討した。600のMcoP変異体に対して電気化学スクリーニングを実施したところ、酵素活性は野生型と似ているものの、酵素電気化学反応が変化した変異体が多く確認された。酵素電気化学反応に変化が確認された変異体についてDNAシーケンスを実施したところ、これまでに報告されていない部位への変異導入が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに実現していない直接電子移動型酵素の電気化学スクリーニングに成功し、従来の酵素活性スクリーニングと電気化学スクリーニングで異なる結果が得られている。また、電気化学スクリーニングにおいて野生型との違いが確認された変異体について、これまでに報告されていない部位への変異導入も確認されている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、電気化学スクリーニングを実施した変異体において、野生型と違いの確認された変異体のDNAシーケンスは半数程度完了している。今後は、残りの変異体のDNAシーケンスを実施した後、主成分分析による変異と酵素電気化学反応の関係性の解析および新しい変異体設計および評価を実施する。
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