2021 Fiscal Year Research-status Report
高精度寿命予測と単一線虫マルチオミクスによる線虫の寿命個体差が生じる分子機構解析
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21K14784
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
油屋 駿介 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD) (10846447)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マルチオミクス解析 / Caenorhabditis elegans / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では単一線虫マルチオミクス解析と行動解析に基づく寿命予測を組み合わせて、同一環境・同一遺伝型線虫で寿命の差異が起きる分子メカニズムを明らかにすることを目指す。本年度は (1) 単一線虫から3000タンパク質以上を同定できるサンプル調製法の構築 (2) 表現型情報を取得するための顕微鏡システムの構築 を行った。 (1) 単一線虫から3000タンパク質以上を同定できる手法の構築 サンプル調製溶媒の微量化を行うことで単一線虫から3000タンパク質以上を同定できるサンプル調製法を構築した。線虫をメタノール・クロロホルム・水の混合溶媒中で超音波破砕し、遠心することでタンパク質を沈殿させた。混合溶媒を除き沈殿したタンパク質を5 μLのLysis buffer中に懸濁し、プロテオミクスサンプル調製を行った。使用する容器容量・アルキル還元の有無・使用する消化酵素・添加PEG濃度・導入サンプル量などを最適化することで、単一線虫から3000タンパク質程度を同定できる手法を構築した。さらに、DIA-NNを用いることで、従来法と比べて20%以上多くのタンパク質を低いCV値 (10%以下)で同定することに成功した。 (2) 表現型情報を取得するための顕微鏡システムの構築 先行文献を基に表現型情報を取得できるWormtrackerを作成した。一方でWormtrackerを用いた場合解析ソフトウェアのエラーなどから安定してデータを取得できなかった。そこで現在3Dプリンターとラズベリーパイを用いてより簡便・長期間に安定してデータを取得できる観察システムを構築中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチオミクス解析法の構築は順調に進んでいる。プロテオミクス解析では、構築した微量サンプル調製法とDIA-NN法を組み合わせることで、単一線虫から3000タンパク質程度を同定し、低いCV値で同定することに成功した。メタボロミクス解析では分析法の検討などを行い、微量サンプルからでも86種の親水性代謝物と282種の脂質を同定した。 一方で、表現型情報の取得に用いる顕微鏡システムの構築と表現型情報の取得に使用予定であったシステムが安定しなかった。そのため、現在3Dプリンターを用いて安価で安定してデータを取得できるシステムを構築中である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は表現型情報が取得できるシステムの構築を主として行う。加えて、メトホルミン投与により寿命が延伸した線虫の単一線虫マルチオミクス解析を行い、個体間のタンパク質・代謝物量の不均一性が引き起こす寿命変動メカニズムを考察する。
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Causes of Carryover |
研究室に余っていたパーツを用いて線虫の観察システムを構築したため、本年度残額を繰り越した。繰り越した費用を用いて、3Dプリンターを用いた線虫観察システムを構築する。
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Research Products
(4 results)