2023 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアの形態異常に起因する諸疾患に対する新規ターゲットとしての微小管
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21K14786
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Research Institution | Yonago National College of Technology |
Principal Investigator |
村田 和加惠 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (30613707)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Saccharomyces cerevisiae / mitochondria / microtubule |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では、微小管重合阻害剤であるthiabendazole (TBZ)および微小管安定化剤であるnordihydroguaiaretic acid (NDGA)を出芽酵母に添加し、ミトコンドリアの融合・分裂異常に関わる遺伝子をreverse transcription PCR (RT-PCR)を用いて特定した。これまでの研究より、GFP株を用いて細胞内でのミトコンドリアと微小化の局在を観察した結果、TBZ添加細胞においては点状のミトコンドリアが観察され、微小管の伸長阻害も確認された。NDGA添加細胞においては、ミトコンドリアおよび微小管共にcontrol細胞と同様の局在が見られた。これらの結果をふまえ、ミトコンドリアの融合・分裂に関わる遺伝子において、RT-PCRを用いてTBZ, NDGA添加細胞における発現量を調べたところ、ミトコンドリアの分裂に関与するDNM1, FIS1においてはTBZ, NDGA添加細胞においてcontrol細胞と比較して転写量の変化は見られなかったが、融合に関与する遺伝子の1つであるMGM1においてはTBZ添加細胞において転写量の減少が観察された。ミトコンドリアの融合が阻害されるとミトコンドリアは分断され、点状の形態を示すことから顕微鏡観察の結果とも一致することがわかった。また、蛍光顕微鏡観察の結果、TBZ, NDGA添加細胞において、contol細胞よりもミトコンドリアのGFP蛍光輝度が高く観察されたため、RT-PCRを用いて発現量を調べたところ、control細胞と比較してTBZ添加細胞においてわずかであるがミトコンドリア関与遺伝子の転写量の増加が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大予防措置等のため、研究交流や研究資材の遅れが生じており、申請時の研究計画がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
Thiabendazole添加細胞でMGM1遺伝子においてcontrol細胞と比べて転写量の減少が見られた。Mgm1はFzo1とUgo1と複合体を形成し、ミトコンドリアの融合に関与する。また、Mgm1はミトコンドリア分裂における膜形成および細胞骨格制御にも関与するダイナミンの関連タンパク質である。Thiabendazole添加細胞におけるミトコンドリアの融合異常にダイナミンが関係すると考え、微小管重合阻害とミトコンドリアの融合阻害にダイナミン関連遺伝子がどのように関与しているかを申請期間内に調べていく予定である。また、ミトコンドリアのGFPがcontrol細胞よりも微小管脱重合阻害剤添加細胞において強い蛍光が観察され、さらにTBZ添加細胞において、わずかであるがcontrol細胞よりもミトコンドリア関与遺伝子の転写量の増加が確認された。ミトコンドリアは糖代謝能力が落ちると増加するという報告があるため、ATP生産量に異常があるのではないかと考え微小管脱重合阻害剤添加細胞においてATP生産能力の変化についても研究を行っていく。
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Causes of Carryover |
当初、初年度に購入を予定していた消耗品の一部について、研究計画の変更に伴い次年度に購入することとしたため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は当初購入を予定していた消耗品を次年度に購入することとして執行を計画している。
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