2021 Fiscal Year Research-status Report
リンパ球の増殖、分化に関わる新規シグナル伝達機構の解明とがん免疫に及ぼす影響
Project/Area Number |
21K14790
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
藤原 光宏 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究推進基盤センター, 研究員 (20880412)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 獲得免疫 / リンパ球 / 胚中心 / 増殖 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
獲得免疫系は、異物が生体内に侵入した際に、T細胞やB細胞が自然免疫系から抗原の情報を受け取ることにより、脾臓やリンパ節などの二次リンパ組織内で増殖し、分化することでエフェクター細胞となり抗原特異的に応答する。したがって、未感作のリンパ球が抗原刺激によって増殖・分化することは、獲得免疫系が機能する上で根幹をなす機構といえる。このリンパ球の増殖・分化を制御するシグナル伝達のメカニズムを解明することは、病原体やがん細胞への免疫応答においても大きな意義を持つ。研究代表者はリンパ球が増殖して分化する場である胚中心のT細胞やB細胞において発現が上昇する新規キナーゼを見出した。本研究は、リンパ球の活性化刺激に応答したこのキナーゼの発現量の変化を定量的に解析するとともに、阻害または欠損することでリンパ球の分化や増殖にどのような影響をもたらすかを明らかにする。さらに、抗原受容体シグナルで対象のキナーゼの下流分子を検索し、その機能を解明することを目的とする。 初年度は、in vitroでキナーゼ阻害剤を添加した際の細胞増殖、分化への影響について検討し、キナーゼ阻害剤によって、細胞増殖ならびにプラズマB細胞への分化が抑制された。次にこのキナーゼをB細胞特異的に欠損したコンディショナルノックアウトマウス(cKOマウス)を作製し、脾臓B細胞の各分化ステージにおいての影響を解析した。さらに、cKOマウスから精製した脾臓B細胞の増殖能を解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、in vitroでのB細胞の細胞増殖刺激に対しての対象キナーゼの阻害効果について解析し、次にB細胞特異的に対象キナーゼを欠損したcKOマウスを作製し、キナーゼ欠損によるB細胞の分化への影響を解析した。その結果、in vitroでは、B細胞はキナーゼ阻害剤添加によって、細胞増殖ならびにプラズマB細胞への分化が抑制された。一方で、cKOマウスは、B細胞特異的なキナーゼ欠損によって、いずれの分化ステージにおいても細胞数に変化はなかった。cKOマウスの作製及び解析に時間を要したため、本研究の進捗はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度では、B細胞における対象キナーゼの役割について解析し、B細胞では細胞増殖、分化に対しての影響は認められなかった。今年度は、T細胞特異的にキナーゼを欠損させたcKOマウス作製し、T細胞の各分化ステージにおける細胞数を解析する。この解析結果を踏まえて、T細胞の増殖・分化を制御するシグナル伝達のメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
初年度に、B細胞ならびにT細胞特異的に対象のキナーゼを欠損したコンディショナルノックアウトマウスを作製して解析を行い、その結果を基に海外雑誌への論文投稿を行う計画であった。しかし、T細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスの作製、解析の進捗に遅れがあり、実験に必要な物品費ならびに論文投稿に係る経費等を使用していないため、未使用額が生じた。このため、初年度の未使用額は、次年度の物品費、論文投稿に係る経費に充てることとしたい。
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