2021 Fiscal Year Research-status Report
マンネンタケ由来メロテルペノイド天然物群の網羅的全合成研究
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21K14797
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
加茂 翔伍 星薬科大学, 薬学部, 助教 (30894787)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 全合成 / 生物活性天然物 / メロテルペノイド / ゲラニルヒドロキノン / オレゴネンシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マンネンタケ (Ganoderma) 属真菌が生産するメロテルペノイド天然物群の網羅的かつ効率的な合成法を確立する。Ganoderma属真菌由来メロテルペノイド類は、環化様式の違いにより多様な骨格を有し、また神経幹細胞成長促進作用など特異な生物活性を示すことから、新薬開発のリード化合物となる可能性を秘めている。そこで本研究では生合成仮説に基づき、構成パーツの連結と環化位置の制御による効率的合成戦略を立案した。本合成戦略に基づき、 Ganoderma 由来メロテルペノイド群の網羅的全合成法の開発を目指し研究を実施した。 本年度は、分子内にブテノライド構造を有する oregonensin とその関連天然物の全合成研究を実施した。芳香環部分、環状構造 (ラクトン) 部分、および側鎖部分のそれぞれを連結することで、oregonensin 類の合成を目指した。これまでに芳香環-環状ラクトンパーツと側鎖パーツのそれぞれについて、市販の試薬から短工程で合成できる合成経路を見出した。目的天然物の特徴であるブテノライド部分の構築が問題であったが、スルホキシドを利用する手法により完全な位置選択性で目的の位置に二重結合を導入することに成功した。これまでに oregonensin A と最も単純な構造を有する類縁体 fornicin のラセミ合成を達成した。現在、不斉合成への応用と、各反応の収率改善、またさらに広範な類縁天然物合成への適用を目指し検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画の通り、oregonensin A の全合成を達成することができた。不斉合成への応用や収率の改善など、改善点はあるものの、本合成経路が他の類縁天然物の全合成にも応用可能であることを明らかにできたことから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
前項のとおり、oregonensin 類の合成研究について、不斉合成への応用検討と各工程の収率改善を実施し、近日中の論文化を目指す。不斉合成への展開に関しては、合成中間体であるケトンの立体選択的還元により達成できると考えている。 また当初の計画の通り、2年度目は applanatumol 類の網羅的合成研究を実施する。すでに研究に着手しており、鍵反応として設定した転位反応の検討を行っている。本鍵反応について不斉補助基または不斉触媒を用いた不斉反応を検討し、applanatumol 類の網羅的合成を目指す。
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Research Products
(7 results)