2021 Fiscal Year Research-status Report
半人工遺伝子クラスターによる難培養微生物由来有用天然化合物の異属生産技術の開発
Project/Area Number |
21K14798
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
工藤 慧 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (80828161)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 天然物化学 / 海洋天然物 / 難培養微生物 / 発酵生産 / 合成生物学 / ガン / 医薬品 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はPseudomonas属細菌が生産するtetrahydroisoquinoline(THIQ)骨格含有化合物safracinの生合成遺伝子クラスターをクローニングし、P. putidaを宿主とした異種発現によりsafracinを生産させることに成功している。同じくTHIQ骨格を有する抗がん剤にEcteinascidin-743があるが、本化合物は海洋生物に共生する難培養微生物が生産するため、safracinから多段階の反応ステップを経る半合成によって供給されている。このような高活性化合物を一段発酵生産する技術、あるいはより優れた半合成前駆体を供給する技術は、天然資源を創薬等へ最大限に活用するために極めて重要である。 safracin生合成遺伝子をrenieramycin生合成遺伝子に置換え、さらにrenieramycin生合成に特徴的な遺伝子を追加することで人工遺伝子クラスターを構築した。一部の生合成前駆体はsafracinとrenieramycinで共通するため、それらの生合成遺伝子に関してはそれぞれ作製した。また、renieramycinに特徴的な生合成前駆体の供給のため、放線菌由来遺伝子の利用も検討した。以上のように遺伝子の組合せを複数検討したが、目的とするrenieramycin誘導体は生産されなかった。そこで導入した遺伝子の発現解析を行う必要があると考えられた。上記の人工生合成遺伝子クラスターを導入した菌株を、safracinの異種生産と同条件で培養し、RNA抽出法を決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初想定よりも人工遺伝子クラスターの構築に時間を要したため、化合物生産のボトルネックに関して十分な評価が行えなかった。1遺伝子でなく複数の遺伝子を含む巨大な遺伝子断片を取り扱う必要があるため、反応条件の最適化が必要であった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定通り、化合物生産のボトルネックを明らかにするため発現解析を進める。結果を元に人工遺伝子クラスターにプロモーター導入や配列最適化等の改良を進め、renieramycin誘導体の生産を目指す。また、難培養微生物由来の生合成遺伝子について機能解析を行い、基礎的知見を得る。
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Causes of Carryover |
初めに構築する予定であった人工遺伝子クラスターの構築が難航したため、想定していたよりも消耗品の購入が少なかった。全体計画に変更はなく、次年度は解析結果を踏まえた遺伝子クラスターの改変を進めるために消耗品の購入が増えることが見込まれる。
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