2021 Fiscal Year Research-status Report
良好な成形性を示す澱粉分子鎖構造の解明と原料米のフォーミュラ選抜法の提案
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21K14807
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
矢野 裕子 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (60897578)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 澱粉 / 食品 / 加工適正 / 米粉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、米澱粉の分子鎖構造と食品への加工適正の関係を明らかにすることを目的としている。初年度は、原料米と米粉の成分分析を行った。また、米粉の基本的な熱物性を調べた。原料米には、アミロース含量や分子鎖構造の異なる4品種の米(ヒメノモチ、あきたこまち、あきたさらり、まんぷくすらり)を用いた。原料米と米粉の成分分析については、水分量とタンパク質含量を調べた。米粉の水分量について、含水率が最も高い品種はあきたさらりで約14%を示し、最も低い品種はあきたこまちで約7%を示した。米のタンパク質含量が最も高い品種はあきたこまちで約7%を示し、最も低い品種はまんぷくすらりで約3%を示した。 また、米粉の基本的な熱物性として、DSC測定とRVA測定を行った。DSC測定の結果から、品種により澱粉の糊化ピーク温度が異なることが明らかとなった。糊化ピーク温度が最も低い品種はあきたさらりで約60℃を示し、最も高い品種はまんぷくすらりで約70℃を示した。また、RVA測定の結果から、アミロース含量が高い品種ほど最高粘度が低く最終粘度が高くなる傾向を示すことが明らかとなった。これは、アミロース含量が高い品種ほど粘りにくく老化しやすいことを示している。これらの結果は原料米の基本情報として今後の考察に用いる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度はおおむね計画通り澱粉の成分分析と熱物性に関する測定を遂行できている。当初は概要に示した実験の他に、損傷澱粉測定を行う予定があったが、使用機器の調整等が遅れてしまい遂行できていない。現在は測定可能であるため早急に測定を行う。損傷澱粉測定以外の結果に関しては順調に得られていることからおおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の研究により、澱粉の組成や構造が異なる4品種の米を選定することができた。また、それらの基本的な成分分析と熱物性を明らかにした。今後はこれらの原料米を用いて食品への加工を行う。具体的には、パン、米菓、麺類、フライを作製し、それらの製造過程における米粉生地の物性変化を明らかにするとともに完成した製品の品質を比較する。澱粉は加熱条件によって糊化度が変化し、米粉生地の物性に大きな影響を与えることが過去の知見から明らかになっている。食品の調理には様々な加熱手段が存在することから、多種多様な調理法における米粉生地の物性変化及び製品の品質を関連付けることで、「調理法ごとに最適な品種を提案する」という計画を達成することができる。
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Causes of Carryover |
学会参加のための旅費として使用を考えていた予算について、複数の学会でオンライン開催となり旅費が必要無くなったことから次年度の使用額が生じた。 次年度の使用計画として、新しい調理器具の購入と調理環境の増設に充てる予定である。
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