2022 Fiscal Year Research-status Report
良好な成形性を示す澱粉分子鎖構造の解明と原料米のフォーミュラ選抜法の提案
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21K14807
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
矢野 裕子 山形大学, 工学部, 助教 (60897578)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 澱粉 / 食品 / 加工適正 / 米粉 / 米粉麺 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、米澱粉の分子鎖構造と米粉食品の加工適正の関係を明らかにすることを目的としている。令和4年度は、製麺に適する澱粉分子鎖構造の決定に関する研究を行なった。 澱粉は直鎖状分子であるアミロースと分岐鎖状分子であるアミロペクチンから構成されている。米は品種によって組成や分子鎖構造が異なる。本研究では、アミロース含量やアミロペクチン分岐構造の異なる4品種の米を原料米に用い、製麺実験を行なった。製麺実験ではスパゲッティ用の製麺機を使用した。はじめに、米粉麺に適する加水量を検討した。具体的には、米粉と水の配合比を変えて製麺実験を行なった。米粉麺の製麺に適切な水分量は、米粉重量の75%であることが明らかとなった。麺の成形加工性については、アミロース含量が低い品種の米ほど曲げ、折れに強く、麺を長くが成形できることが明らかとなった。これはアミロース含量が低い生地ほど粘弾性が低く、柔軟性が高いためだと考えられる。 製造した米粉麺を乾燥させることで乾麺を製造した。製造した乾麺は茹で時間を変えて調理した。茹で後の麺は圧縮試験を行うことで歯応えを評価した。茹で時間を1~10分の間で変更して硬さを測定したところ、いずれの米粉麺も柔らかくなる傾向を示した。米粉麺の調理後の硬さは小麦麺と比較して低い値を示した。アミロース含量が高い品種から製造した米粉生地は比較的硬い特徴を示すため、調理後の食品の品質としては澱粉の直鎖成分の多いアミロース含量が高い品種が米粉麺に向いていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はおおむね計画通りに澱粉+水系における食品の製造と成形加工性評価について研究を遂行できている。 具体的には米粉100%で製麺を実現し、成形品の品質を評価し米の品種ごとに比較することができた。しかし、麺以外の食品については研究を進められていないため、来年度以降も澱粉+水系における食品の製造は継続する必要がある。以上より、当初の実施計画と目標通り研究を遂行できていることから、おおむね順調に進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度の研究により、澱粉分子鎖構造の違いが米粉100%麺製麺時の米粉生地の成形加工性と品質に与える影響を明らかにした。本研究では「調理法ごとに最適な品種を提案する」ことを目的としているため、調理工程の異なるさまざまな食品を製造し、その加工性と品質を評価する必要がある。 令和4年度においては澱粉分子鎖構造の異なる複数の品種の米を試料に用いて米粉麺を製造し、品質を評価した。これにより、米粉と水を混ぜて捏ねる調理法について、その適する澱粉分子鎖構造の特徴を推定することができた。 今後の研究としては、引き続き澱粉+水系における食品の製造と成形加工性評価を継続する。加えて、澱粉+油系の食品としてソフトクリーム、フライを作製し、それらの製造過程における米粉生地の物性変化を明らかにするとともに完成した製品の品質を比較する。品種の異なる米を用いて調理法の異なる複数の食品を製造し、成形加工性と調理後の品質を比較することで、調理法ごとに最適な品種を提案する」という計画を達成すること可能となる。
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Causes of Carryover |
前年度にて全ての学会がオンライン開催となり、予定よりも支出額が小さくなりました。前年度の未使用額分を今年度中に使い切ることができなかったため、次年度使用額が生じました。 次年度使用額の使用計画については、当初の予定よりも材料を多く消費しているため、材料費と米粉の製粉にかかる費用にあてることを計画しています。
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Research Products
(1 results)