2021 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患の病態制御を目指した成分栄養療法の炎症制御メカニズム解明
Project/Area Number |
21K14821
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
窪田 篤人 北海道医療大学, 薬学部, 助教 (70879931)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 芳香族炭化水素受容体 / 成分栄養療法 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
制御性T細胞(Treg)のマスター遺伝子 Foxp3 は、核内受容体のNR4Aや芳香族炭化水素受容体(AhR)に制御されていることが報告されている。我々は、炎症性腸疾患(IBD)治療に用いられる成分栄養剤に着目し、AhR高感度レポーター細胞株であるDR-EcoScreen 細胞を用いて各成分のリガンド能を評価した。 その結果、特にトリプトファン(Trp)代謝産物4種類にAhRアゴニスト活性があることから、Treg を誘導する可能性が示唆された。更に、同程度のリガンド能を有する化合物がマウス脾臓Tregを誘導する事を見出し、報告している(Kubota A. et al. Pharmacology. 2021. Kubota A. et al. Ecotoxicol Environ Saf. accepted)。 加えて、IBDモデルとして汎用されるDSS誘導性大腸炎モデルに対し、成分栄養剤及びTrp強化成分栄養剤、Trp単独それぞれの抗炎症作用を評価した結果、Trp 並びに Trp 強化成分栄養剤は強い抗炎症作用を示した。 また、これらのAhRアゴニストが輸送担体に与える影響をT細胞様培養株であるJarkat細胞を用いて評価したところ、アゴニスト活性の差によって各種輸送担体に経時的変化を与えることが示唆された。特に、短鎖脂肪酸の輸送に関与するモノカルボン酸輸送体(MCT)1,4 並びにナトリウム依存性モノカルボン酸輸送体(SMCT1,2)について有意な変化を観察した。また、有効成分を輸送することが予想されるアミノ酸輸送体についても同様の評価を行い、経時的に mRNA が変化することを観察している。 以上の結果より、IBD成分栄養療法の抗炎症作用に必要な成分が Trp であることが示唆され、その機序はAhRを介している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の通り、令和3年度は成分栄養剤の有効成分の推定を行った。特にTreg誘導に関与するAhRのリガンド能をレポーターアッセイ法及び in silico ドッキングシミレーションを用いて評価した結果、複数のリガンド活性を持つ成分及び代謝産物を見出した。 加えて、これらを強化した成分栄養療法がIBDモデルに有効性を示したことから、当初の研究計画は順調に推移している。加えて、輸送機構に与える影響も培養細胞を用いて経時的変化を観察し終えており、今後は組織染色を利用して局在についても解析する。 以上は令和3年度及び4年度の計画範囲を含み、おおむね順調な研究の推移と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、改変成分栄養療法及び有効成分単独の効果をDSS誘導性大腸炎モデルを用いて詳細に評価している。今後、病理解析及び血中の炎症性サイトカインをELISAで評価することで、IBD成分栄養療法の最適化を目指す。 加えて、リアルワールドデータであるレセプトデータの解析を進める。当初の計画では対象患者を2万人、対象期間を12ヵ月としたが、コロナ禍の影響を鑑み対象期間を60ヵ月まで広げ、患者数4万人のデータを解析している。
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Causes of Carryover |
執行率99.2%であり、12,421円の繰越が生じた。理由として、試薬のキャンペーン期間等を利用し、可能な限り予算を圧縮したことが挙げられる。令和4年度では、多くの組織染色を行うことから、ピペットチップ等消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(3 results)