2022 Fiscal Year Research-status Report
Sugarcane root improvement through intergeneric hybridization with Erianthus
Project/Area Number |
21K14836
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
寺島 義文 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 主任研究員 (90414846)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サトウキビ / エリアンサス / 属間雑種 / 農業特性 / 根 / 遺伝資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1集団の地上部および根系特性の変異および遺伝的多様性を明らかにするために、サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1(64系統)を供試して、1)圃場試験における地上部・地下部の繊維組成や養分吸収特性のデータを取得するとともに、2)ポット試験により、属間雑種F1およびBC1の根の伸長角度などを評価した。 1)については、属間雑種F1系統J08-12は、圃場条件下での栽培試験において、母本のサトウキビより根が深く、ストレス耐性などが期待できる根のリグニン含率も高いことを明らかにした。これら特性は、エリアンサスから導入されていると考えられた。属間雑種F1集団では、地上部乾物重は、母本のサトウキビNiF8より小さい系統が多く出現するが、NiF8より根系が発達する系統が多く、株あたり根乾物重の集団平均値はNiF8より大きく、T/R比はNiF8より小さい傾向であった。地上部、地下部ともに、属間雑種F1は、繊維に占めるリグニンの割合が高く、同特性はエリアンサスから導入されている可能性が示唆された。属間雑種集団は、地上部乾物中のN含率がNiF8より高く、エリアンサスに近い特性を示した。窒素の吸収特性についてもエリアンサスの特性が導入されている可能性が示唆された。 2)については、根の身長角度指数(値が大きいほど、根が鉛直方向に延びていることを示す)は、サトウキビ母本NiF8で小さく、エリアンサス父本JW4やJIRCAS1で大きいこと、属間雑種F1系統には、母本のNiF8より根伸長角度指数が有意に大きい系統が出現することを確認した。根の伸長角度指数が大きい属間雑種F1系統J08-12をサトウキビに戻し交配して作出した属間雑種BC1系統には、母本としたJ08-12と同程度の根の伸長角度指数を示す系統が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、サトウキビとエリアンサスの属間雑種F1集団の地上部特性及び根系特性の変異とともに、それら特性とゲノム情報との関連を明らかにすることを目的としている。今年度は、それら雑種集団の根系データを取得するとともに、地上部と地下部サンプルの繊維組成、地上部サンプルの養分吸収特性に関するデータを取得した。また、ポット試験により、属間雑種F1およびBC1の根の伸長角度指数の特性を評価した。次年度以降の評価、解析に使用する基礎データの取得を計画通り実施したことから、本研究は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、属間雑種F1集団のDNA量のデータを取得するとともに、R3年度に取得したゲノム情報のデータも利用して、各属間雑種F1の遺伝的変異を明らかにするとともに、地上部や地下部特性との関連を解析する作業を進める。
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Causes of Carryover |
本年度研究では、属間雑種F1集団のポット試験を実施する計画であったが、当初計画より系統数を減らしたため、次年度使用額が発生した。この次年度使用額は、次年度実施するDNA量の測定などに利用する。
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