2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K14845
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山崎 諒 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 研究員 (30739660)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダイズ / 青立ち / 老化 / 地球温暖化 / 気温 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、ダイズの一回結実性老化における低温誘導性(登熟期の気温低下を感知し、茎葉の老化を促進させる性質)についてダイズ一般に広く認められる現象であるか、どの程度の品種・系統間差があるかの年次再現性を明らかにするために、前年度と同様のポット栽培試験を行った。前年度に供試し、対照区・高温区ともに収穫期に到達した36系統について、2022年度も同様に供試した。 その結果、すべての個体が収穫期に到達し2か年にわたり対照区と高温区の青立ち程度を比較できた。2か年ともに35系統で高温区の青立ち程度が対照区よりも高くなった。年次を反復とした分散分析では処理間差・品種間差・交互作用すべて有意だったため、ダイズの一回結実性老化における低温誘導性は年次再現性と一般性が高く、反応性に品種間差が存在する現象であることが示された。シンクサイズ(1節あたり莢数・粒数・子実重)は高温処理によって必ずしも減少せず、高温区における青立ち発生はシンク減少では説明できないことが明らかとなった。 供試した品種を、①対照区でも高温区でも青立ち程度が高い、②対照区での青立ち程度が低く高温区で青立ち程度が高い、③対照区での青立ち程度が低く高温区で青立ち程度が小さい品種系統のグループに分類した。②と③についてダイズの一回結実性老化における低温誘導性が高いグループと低いグループであると考えられ、次年度の詳細な遺伝子発現解析に供試することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数のダイズ品種系統に関して、2か年にわたり登熟期以降の高温が青立ちに及ぼす影響を検証した結果、ダイズの一回結実性老化における低温誘導性は年次再現性と一般性が高く、反応性に品種・系統間差がある現象であることを示すことができた。さらに、低温誘導性が高い品種・系統と、低い品種・系統を特定することができ、次年度の解析につなげることができた。このため、本課題の当該年度の目標を計画通りに達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画の通り、2023年度は前年度までに供試した品種・系統のうち生育ステージ進行が近く高温による青立ち促進反応が異なる2品種・系統を選び出し、人工気象器において高温処理をかけてトランスクリプトーム解析を行う。トランスクリプトームの品種・系統間差と処理間差を解析することで、低温誘導性の品種・系統間差が気温に対する遺伝子発現の反応で説明できるかどうかを検証する。
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Causes of Carryover |
高温区のボイラー稼働の燃料費は栽培期間中の気温によって変動するため、試験開始前の時点では正確な必要量を予想することはできず、結果として次年度使用額が生じた。次年度使用額は2023年度におけるポット栽培試験と遺伝子発現解析に必要な消耗品費に充当する計画に変更した。
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