2021 Fiscal Year Research-status Report
タマネギ乾腐病菌のSIX3エフェクターの盤茎における局在解析
Project/Area Number |
21K14857
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
佐々木 一紀 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (50766318)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タマネギ乾腐病菌 / エフェクター / 細胞内局在 / SIX遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
タマネギ乾腐病菌のSIX3エフェクターはタマネギに対する病原性因子として働いているが、その詳しいメカニズムは不明である。FocSIX3タンパク質は感染したタマネギの盤茎部および根で発現しているが、特に盤茎部でより多く蓄積している。そこで本研究では、タマネギの盤茎部に焦点を当て、タマネギ乾腐病菌の感染動態とFocSIX3の細胞内局在を明らかにすることを目的とする。本年度は、以下の研究を実施した。 1)蛍光標識タマネギ乾腐病菌の観察:タマネギ乾腐病菌のタマネギ盤茎内での所在を明らかにするために、GFPで標識したタマネギ乾腐病菌を作製した。GFP標識株をタマネギに感染させて観察したが、明瞭な蛍光は得られなかった。 2)免疫染色サンプルの作製:タマネギ乾腐病菌を接種して1, 2, 3週間後のタマネギ盤茎をサンプリングして、固定、包埋を行った。これより切片を作製して顕微鏡観察を行い、良好なサンプルであることを確認した。次年度以降、抗SIX3抗体を用いてこのサンプルの免疫染色を行う。 3)SIX3とSIX5の相互作用: SIX3遺伝子はゲノム内においてSIX5遺伝子とhead-to-headの関係でプロモーター領域を共有していることを明らかにした。さらに、Yeast two hybrid法を用いることで、SIX3とSIX5が相互作用することを見出した。また、SIX3は単独でモノマーを形成していることも明らかにした。そこで、盤茎内においてSIX3とSIX5が複合体を形成して共局在しているか確かめるために、抗SIX5抗体を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
蛍光標識タマネギ乾腐病菌の感染動態の観察においては、明瞭なGFP蛍光を観察できなかった。タマネギ乾腐病菌を接種した盤茎から、免疫染色用サンプルを調整した。コントロールおよび接種サンプルともに良好な切片が観察できたことから、接種初期には盤茎の崩壊は起きていないことを明らかにした。また、当初の研究計画にはなかったSIX3とSIX5タンパク質が相互作用していることを明らかにした。このことはSIX3の細胞内局在および機能を解明する上で重要な手がかりとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はGFP標識によるタマネギ乾腐病菌の盤茎内での感染動態の解明を試みたが、明瞭なシグナルが得られなかったため、キチン結合能を持つWGA-FITCによる標識を試みる。また、今年度作製したサンプルを用いてSIX3およびSIX5の細胞内局在を観察する。 現在、SIX3およびSIX5のそれぞれの遺伝子破壊株を作製しており、どちらか一方が欠損した場合の細胞内局在変化を観察する予定である。
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Causes of Carryover |
当初予定していたタマネギ乾病菌の感染動態を明らかにする実験が予定通り進まなかったため。この実験の目的を達成するための代替実験に使用する消耗品の購入を予定している。
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