2022 Fiscal Year Research-status Report
環境細菌が昆虫細胞内へ共生するために獲得/喪失した形質の探索と実証
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21K14865
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
竹下 和貴 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (40799194)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 細胞内共生 / カメムシ / バークホルデリア / 進化 / 遺伝子組換え共生細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
オオホシカメムシは、環境中からバークホルデリア属の共生細菌を選択的に獲得し、細胞内に保持する「環境獲得型の細胞内共生系」を築く。本研究では、遺伝子組換え(非)共生細菌を用いた実験アプローチにより、オオホシカメムシへの細胞内共生を可能としている共生細菌側の責任遺伝子を同定することを目的とする。昨年度までに、各種バークホルデリア属細菌(オオホシカメムシ由来の単離菌3株を含む22種)のオオホシカメムシへの感染実験と比較ゲノム解析による共生細菌特異的遺伝子の抽出を完了させた。本年度は、“遺伝子組換えオオホシカメムシ共生細菌を用いた検証実験”に取り組んだ。 昨年度実施した比較ゲノム解析では、オオホシカメムシと共生関係を築くことができる細菌ゲノムに特異的に保持されている遺伝子、欠失している遺伝子としてあわせて136遺伝子を抽出した。本研究ではこれら遺伝子をオオホシカメムシへの細胞内共生を可能としている共生細菌側の責任遺伝子の候補とした。本年度は上述の候補遺伝子のうち、共生可能な細菌が特異的に保持する遺伝子を対象に、オオホシカメムシ共生細菌において遺伝子欠損株を作製することに注力した。これまでに、機能アノテーション情報などから細胞内共生への関与がより強く疑われる8株の遺伝子欠損株の作製に成功し(欠損させた候補遺伝子は合わせて20遺伝子)、これら8欠損株を対象とした蛍光タンパク質発現変異株の作製にも成功した。作製した欠損株に関しては、オオホシカメムシへの感染実験を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『オオホシカメムシへの細胞内共生を可能としている共生細菌側の責任遺伝子の候補』としてリストアップした遺伝子のうち20遺伝子について、オオホシカメムシ共生細菌において遺伝子欠損株(8株)の作製に成功した。さらにこれらの細胞内共生への関与を検証するための感染実験にも着手した。これまでは当初の計画通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き当初の計画に従い、作製した遺伝子欠損株のオオホシカメムシへの感染実験を行い、対象遺伝子の細胞内共生への関与を検証する。また、共生可能な細菌が特異的に欠失している遺伝子を対象に、オオホシカメムシ共生細菌への遺伝子導入株を作製し、オオホシカメムシへの感染実験を行う。
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Causes of Carryover |
別の研究費との兼ね合いで、予定よりも消耗品の使用額を抑えることができたため次年度への繰越が生じた。これらは、次年度の消耗品購入に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)