2021 Fiscal Year Research-status Report
Do mass flowering crops and eusocial bees contribute to the spread of pathogens among bees?
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21K14868
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
中村 祥子 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60896546)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 花の微生物 / 訪花昆虫 / 真菌群集 / アンプリコンシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
訪花昆虫の病原生物を含む微生物類が、訪花昆虫の訪花によって野外の花間を移動分散することを検証するため、ハナバチを含む多様な訪花昆虫が豊富に訪れるゴーヤにおいて、訪花が花上の真菌群集組成に与える影響と、訪花昆虫類の体表の真菌叢の解明を行った。 ①花の真菌群集組成に対する昆虫の訪問の影響:網かけ処理により訪花昆虫のアクセスを遮断したオープンな花とつぼみ、網掛け処理をせず昆虫に自由に訪花させたオープンな花の3処理において、花の部位(花弁・葯)別に核酸を抽出し、ITS領域のユニバーサルプライマーによるアンプリコンシーケンスを実施し、処理区間、花の部位間でOTUベースの群集組成比較を行った。訪花昆虫による真菌群集組成への影響は花の部位によって異なり、花弁では真菌群集の明確な組成差は見られなかったが、葯では組成差がみられた。葯の真菌のなかで昆虫の訪花によって特に検出OUT数が増加した分類群はSaccharomycetesで、葯におけるこの分類群の検出と主要な訪花者である社会性ハナバチであるトラマルハナバチの訪問頻度には関連性が示唆された。複数のハナバチ種に感染する真菌であるノゼマ微胞子虫はいずれの花からも検出されなかった。 ②ゴーヤ訪花昆虫の体表真菌相の解明:ゴーヤの主要な訪花昆虫であるトラマルハナバチ、ヒメハラナガツチバチ、コハナバチ5種、セセリチョウ2種、ツマグロキンバエ、ホソヒラタアブ、ハナグモ、ウリハムシの体表洗浄液から、抗生物質入りYMアガーで真菌類を培養し、出現したコロニーの計数と、分子同定を行った。88コロニーを分子同定した結果、29OTUの真菌が検出され、そのうち80%以上が上記①で花上から検出された真菌と合致し、花と昆虫の微生物共有が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
花上から網羅的で十分な量の真菌DNAを得るため、最適なDNA抽出方法検討等の予備実験に時間を要した。そのため、訪花昆虫の体内の病原微生物の検出実験に着手できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
野外のハナバチにおける病原体感染調査を行うとともに、セイヨウミツバチの導入試験から、セイヨウミツバチの大量訪花に伴う、花上と、その他の訪花昆虫の微生物の群集組成の変化を検証する。ハナバチ病原体の感染伝搬試験は、家畜伝染病予防法の指定届出機関の認定申請の状況次第で随時準備と実施の検討を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、大規模なカボチャ畑のある北海道等から、近場のゴーヤ畑に調査地を変更したこと等により残額が発生し、次年度使用額が生じた。令和4年度はミツバチ導入試験のためのセイヨウミツバチ巣箱の購入や、同試験の網掛け処理のための物品購入、花と昆虫の微生物のDNAの次世代シーケンサー解析に次年度使用額と当該年度における助成金を使用する。
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Research Products
(3 results)