2021 Fiscal Year Research-status Report
Spatiotemporal Satoyama management focused on anthophilous Coreptera associated with fungiculture
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21K14872
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
淺野 悟史 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (10747869)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 訪花性カミキリムシ / キノコ産業 / 森林利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主な仮説は「キノコ産業にともなう森林利用によって訪花性カミキリムシが有意に発生しやすい環境が創出される」と言い換えられる。2021年度は対象地域である対馬島において,訪花性カミキリムシンのインベントリを作成するため,成虫期のサンプリングを6月および7月に実施した。その結果,カミキリ亜科を中心におよそ20種の訪花性カミキリムシが含まれていた。対馬島の虫媒性植物の花期は種をたがえながら3月から8月まで連続するため次年度以降,時期を変えつつ,インベントリの完成を目指す。 7月の調査で得た情報をもとに,昨秋に伐採された森林跡地において,12月にその伐採残渣(落ち枝など)中からカミキリムシ科(ホソカミキリムシ科含む)の幼虫をサンプリングし,種を特定するため飼養中である。これは本研究の要である材中の幼虫から種だけでなく,寄主植物(幼虫期に食べる植物),さらには発生環境(樹相,管理状況)という,成虫のサンプリングだけでは得られない膨大な情報を一度に得ることができる画期的な調査方法である。幼虫サンプリング地点の位置情報も取得することで,「どこで」発生したかを紐づけることができ,この情報を蓄積することで森林の循環的利用をどのような範囲とサイクルで行うのがよいかを知ることができる。 また,12月の調査において,キノコ産業に伴わない,林内にある自然風倒木からも同様にサンプリングを行い,現在飼養中である。 これまでに羽化したものの中には幼虫の寄主植物が不明とされていたものや,従来知られていた寄主植物とは異なる植物中から得られたものも少なくない。これらはそれぞれの種の生態に関する知見としてとりまとめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予定していた12月の幼虫サンプリングの他に,インベントリ作成のための成虫期の調査を実施できた。また,この夏季の調査により,冬季の調査を効率よく実施できた。また,同一の樹種の残渣であっても,その残渣が位置していた環境によって,カミキリムシ類の種構成が変わる可能性があるという結果が出始めている。また,寄主植物の情報が全くなかったカミキリムシの寄主植物が判明したり,これまで知られていなかった寄主植物が記録されるなど,予期していなかった成果も上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も花期の成虫サンプリングを行いつつ,冬季の伐採跡地における幼虫サンプリングと飼養を行う予定である。また,それぞれの成虫の羽化に合わせ,カミキリムシの発生地点を含んだGISデータベースを整理し,時系列変化,近傍からの流入モデルを構築し,最適な森林管理計画に向けて研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
消耗品が品薄で次年度の購入としたため。
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