2022 Fiscal Year Research-status Report
Testing the positive impacts of biodiversity on forest economic values
Project/Area Number |
21K14880
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
辰巳 晋一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40773437)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生物多様性 / 生態系機能 / 森林管理 / 木材生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
長期森林モニタリングデータを使って、種多様性と木材生産性の関係を解析した。具体的にはまず、多種混植が林分蓄積を増加させる効果(biodiversity effect)を、個体密度と個体サイズによる効果に分解する手法を開発した。個体密度と個体サイズはそれぞれ、樹木の生残と成長を表す重要な森林動態パラメータである。この手法を長期データに適用した。調査地は、北海道中央部に設置されたトドマツ・ミズナラ・ウダイカンバ混植実験林である。解析の結果、種多様性は、短期的には個体サイズ(成長率)を増加させることで、長期的には個体密度(生存率)を増加させることで、木材生産性や経済性を高めることが分かった。密度dとサイズwの関係を解析した結果、単植林分でも混植林分でも、両者の間には-3/2乗則(w=ad^(-3/2))が成り立っていたが、混植林分では階層構造の発達によって自己間引きが抑制され、その結果として個体密度が高く保たれていると示唆された。また、種多様性は、種間の非同調性を通じて一次生産量の安定性を高めることを理論モデルと実験データを用いて示した。樹種が多様な群集は、様々な環境において高い生産性を安定的に発揮することが示唆された。研究成果は、日本生態学会大会にて発表した。論文は国際誌にて査読中である。また、生物多様性(特に空間的な多様性の指標であるベータ多様性)に関する解析手法を開発し、論文を国際誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
樹木多様性と森林生産性の関係を解析するうえで必要な手法の開発を進めることができた。また、それらの手法を長期データに適用し、生物多様性が生産性や経済性を安定的に高めることを示す結果を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
森林長期モニタリングデータおよび木材価格データを整備する。樹木多様性と森林の生産性や経済性の関係を解析する。
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Causes of Carryover |
予定していたよりも英文校閲費がかからなかったため、次年度使用額が生じた。当該助成金は、主に論文投稿費として次年度使用する予定である。
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Research Products
(3 results)