2021 Fiscal Year Research-status Report
樹木系香辛料成分の抗肥満活性:作用点の違いから理解するバニロイドの機能的多様性
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21K14889
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 浩之 名古屋大学, アジアサテライトキャンパス学院(農), 特任助教 (60882579)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Grains of Paradise / Anti-obesity / vanilloid / 6-paradol / 6-gingerol / photoaffinity labeling |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,西アフリカ原産の香辛料Grains of Paradise (GOP) の示した肥満抑制作用の分子メカニズムを解明することを目的とした。これまでの検証から,GOPに含まれるバニロイド成分は,トウガラシの主要な辛味バニロイドであるカプサイシンとは異なり,交感神経系を介さない経路により肥満抑制作用を示すことを発見した。また,GOPバニロイドは非常に類似した構造を有するにも関わらず,脂肪蓄積や脂質代謝に対する効果が異なることを見出した。これらの結果は,GOPバニロイドがカプサイシンとは異なる標的タンパク質との相互作用を介して肥満抑制作用を発現することを示唆しており,肥満抑制効果や活性作用点に対する機能的多様性を有すると考えられる。これらの背景から,本研究では,GOPバニロイドの中でも特に側鎖構造のみがわずかに異なる6-paradolや6-gingerol,6-shogaolに着目し,以下の項目について調査した。 1) マウス3T3L1線維芽細胞 (前駆脂肪細胞) を常法で分化誘導した脂肪細胞にGOP抽出物やGOPバニロイドを投与し,Oil Red O染色法により検出したところ,GOP抽出物や6-shogaolの投与により脂肪蓄積が減少した一方で,6-paradolや6-gingerolの投与により脂肪蓄積が増加した。 2) GOPバニロイドの脂肪細胞分化に対する作用が異なることから,フォトアフィニティープローブ合成を行った。既報に従い,GOPバニロイドを調製し,光反応性官能基にはベンゾフェノンを用いた。パラジヒドロキシベンゾフェノンに対して,プロパギルブロマイドを用いて末端アルキンを導入した。また,ウィリアムソン合成により,アルキルリンカーを導入した後,バニロイドの有するフェノール性水酸基と結合することで,フォトアフィニティープローブを合成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で示唆されたGOPの肥満抑制作用について,脂肪細胞を用いた評価によりGOP抽出物が脂肪蓄積を抑制することを明らかにした。また,GOPバニロイドがそれぞれ異なる肥満抑制作用点を有することを解明するために,GOPバニロイドのフォトアフィニティープローブを合成した。現在,これらのフォトアフィニティープローブを用いた標的タンパク質の検出を実施しており,研究進捗はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策として,調製したフォトアフィニティープローブを用いて,それぞれのGOPバニロイドに特徴的な標的タンパク質の同定を試みる。また,同定した標的タンパク質とGOPバニロイドの特異的な相互作用を分子モデリング解析により解明するとともに,同定タンパク質の肥満に対する機能解明に取り組む。
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Research Products
(2 results)